サンプルでいただいた大量のヨーグルトを冷蔵庫に収めないといけなくて、ビーフシチューのルウでポークシチューを夜な夜な煮る。
深夜の煮物は深夜には食べない。 私は、オムライスとか肉じゃがとかビーフストロガノフとか、名前のある料理を滅多に作らない。 それは特に避けているわけでもなくて、料理は趣味でもないので、なんとなく冷蔵庫にある材料を放り込む式のフライパンひとつでできるごった煮になってしまうだけだ。 あと、火力というか電力の弱い家のIHヒーターでは、ジャーッとやりたい炒め物が上手くできないということもある。 本当は、ごった炒めは作りたいのだけれども。 いつ買ったのか忘れてしまった玉ねぎと今日買ったにんじんを塩胡椒して炒め、半分残っていた豚肉を入れて炒め、水を注いでぐつぐつ。 おいしくないミニトマトも半分に切って入れる。 灰汁を取って、ビーフシチューのルウを入れて。 味見もせずに一旦完成。 だから、たとえルウ頼りでも、やっていることは変わらなくても、ビーフシチューとも言えるポークシチューという名のある料理ができて私は満足した。 たぶん、パンとか添えずに、いつもの通りに一回はここにうどんを入れて食べるのだろうと思う。 それでも私はおいしいものが好きだし、自分で作った料理が好きだ。 最近は、体に合わないと言い張ってきたワインをよく飲む。 今も、体に合う、というふうには思っていない。 漫画「神の雫」を読んで多大に影響を受けているわけだけれど、ワインの持つ世界観というのは、縦にも横にも奥にも悠々と巨大な広がりがあって、時にとても嬉しみに満ちた飲み物になる。 ワインと食べ物がベストマッチすることをマリアージュと言うが、このマリアージュ体験というのは心にポッと明かりに点くような発見と出会いの嬉しさがあるのである。 ワインの力だけでなく、食べ物の力だけでなく、互いの良さが消えることなく混じり合って、一緒になったそれはどこか別の新しい世界へと誘われる。 混じり合ってはいるけれど、それぞれの粒子が消されることなく、柔らかな霧となって消えていく。 ワインにチーズ、といってもどれでもいいわけでは全くないし、赤ワインには牛肉料理、というような安易な結びつけもできない。 個性と個性を以てして、非常に狭いどこかを射抜かれなければいけない。 と言ってもお高く留まるのもスノッブであることも、自覚としては嫌っているので、安いレーズンパンにチルドのチャーシューとか、マーガリンを塗ったバケットにウィンストンのイナズマメンソールとか、そういうことで十分いい。 もちろん、機会があるなら、コースの料理ごとにワインを変えて出してくれるフレンチだって行ってみたいけれど。 「おいしい」というのはとてもとても個人的なことだ。 しかし、「おいしい」というのはきっと、染み付いている先入観なしにも多くの人々で共有しうるようなことだとも思う。 そんな誰かも知っていそうな何かを、事細かに言葉にしたいというのは、私にとってとても楽しくて嬉しい遊びだなと思う。 前のブログの趣とそのままに、つらつらと日常を書いていこうと思う。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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