4月1日。
けいこからのLINEのトーク画面の背景に雪が舞っていた。 今日は寒いからか、と思っていたら、ついさっきそれが桜の花びらであることに気がついた。 不意なきっかけで息子とふたり、新幹線に乗っている。 30分以上も前に東京駅に着いてしまって、時間を持て余している。 しかし時間ギリギリに焦るのはもう本当に嫌だし、しかしかと言って30分もの間、危険がいろいろと潜む新幹線のホームで息子と時間を潰すのは骨が折れる。 30分間、何をしていたか、よく覚えていないがうろうろしてなんとかかんとか、やり過ごす。 前回の旅を思い出し、新幹線で丸々寝ないことを覚悟して臨んだ。 そうしたら、新幹線に乗る前に抱っこで寝てしまい、そのまま座席ですやすや。 毎度毎度思い通りにならないものである。 推測しても準備しても裏切られるので、心構えは悪い方に対応できるようにしておくのが吉か。 それはそれで、余計な荷物などが増えて困りものなのだが。 こどもは、寝顔が可愛い、とよく言ったものだが、私は寝顔より起きているときの顔が好きだ。 人間の機微が出てきた彼の表情は面白くて可愛らしい。 一週間ほど前に、けいこからじいさんの誕生日お祝いの色紙を書いて欲しいという依頼があった。 時折、色紙に書いて欲しいという依頼があるのだが、正直なところ、色紙に書くのは嫌である。 できれば避けたい。 と言うのも、色紙は安くても3枚100円くらいするし、3枚や10枚などの少数書いたものを人様にお渡ししたくないからだ。 あと何枚しかない!というプレッシャーの中で良いものが書ければ良いがなかなかそういうわけにもいかない。 これは私の力不足とも言えるし、こだわりとも言える。 依頼の揮毫は、時と場合にも寄るけれど平均50枚ほどは書く。 そうして良い空間バランスを見つけていくのが私のやり方である。 依頼主は、色紙と言っても、特別にそれでなければならないということはほとんど無い。 色紙くらいのサイズで、気軽に飾れるもの、が欲しいのである。 なので、書道用紙に書いたものを色紙額に額装しますね、ということでほとんど話は落ち着く。 今回もそのようにした。 「齢、九十七」とでかでかと書いてくれということだったので、でかでかと書く。 そう、じいさんは先月で御歳97歳になった。 なんと息子と95歳差である。 もはや何がなにやら、の差である。 私の他のじいさんばあさんは93,4歳のときに死んでしまった。 93,4歳でも随分長生きだと思うが、所謂長生きには93,4というひとつのハードルがあるように思う。 ここを超えると100まで行けるかという感じがしてくる。 生徒さんのお祖母様が103歳と言うが、もうそこまで行くとどこまで行けるか、また分からなくなってくる。 期待も予想も、すでに超越している。 じいさんにはまだまだ頑張ってもらいたい。 施設にいるそうだが、コロナの影響で15分間のみ許されているとか。 たった15分で何を交わすというのか、息子は逃げ出したりしないか。 一度書いていたブログが消えてしまった。 書き直していたら、もう到着時刻である。 息子はまだ寝ている。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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