氷食症、という言葉を聞いたのは、いもうとが妊婦のときであった。
氷をがりがりがりがり貪り食う現象のことを言うらしい。 現在の私も発症している。 が、私は元から氷をよく食べる方だ。 ジュースなどに入っている細かいクラッシュアイスは子どもの頃からジャクジャクと全部食べ干していたし、キューブのブロックアイスも冬やエアコンの効きすぎでもない限りはたいてい食べてしまう。 しかしながら、わざわざ氷を買ってきて家で食べるということは無かった。 今は冷凍庫にクラッシュアイスが欠かせない。 まあ実際には、食べずにはいられない、というほどではないのだが、無駄なカロリーを摂るよりも水分も摂れる氷は今の身体にも良いのではないかと思っている節もある。 ガリガリバリバリ、何となくお腹も膨れる気がするというものだ。 異食症の一種とのことであるが、詳しい機序は分かっていないのが現状のようだ。 有力な説のひとつは、鉄欠乏性貧血。 今のところ数値的異常な貧血ではないのだが、献血を断られるくらいには元々血液成分が薄い。 慢性的に鉄分は不足しているのかもしれない。 先ほど読んだネット記事で興味深かったのが、鉄欠乏の人はドパミン受容体の数が減少していてむずむず脚症候群というのを併発することが多いのだということ。 とても合点がいく、やはり私は数値的異常でなくとも鉄分が不足しているのかもしれない。 むずむず脚症候群というのは、英語で言うと、レストレッグスシンドローム。 私が今抱えているマイナートラブルの大きなもののひとつである。 妊婦の1,2割が発症するらしいのだが、「むずむず脚症候群」という医学病名とは思えない名前が付けられているのは、その原因も症状もはっきりとは何とも言い難いという点にあるのだろう。 私の場合むずむずするというよりは、痛いでもなく痒いでもなく、「脚がムカつく」という表現がしっくりくる。 夕方以降リラックスしていたり、夜寝る前や寝ている最中に、とにかく自分の脚がムカついて不快なのである。 友人もいもうとも妊娠期に発症していたらしいが、私は幼い頃からこれを発症していたと思う。 ちょうど小中学生の頃の成長期から脚の不快さは感じていた。 大人につれ和らいでいったし、何せ明確な痛みなどが無いものだから、浮腫んでいるのだろうというくらいで特に気にしてはいなかった。 とあるタイミングで「むずむず脚症候群」という名前を知って、あぁそういう病気があるのか、とある種の安心感を得た気がした。 何だかよく分からない現象に合点のいく名前が与えられることがある種の安心につながるということは広く存在すると思う。 分からない、ということはつまり不安でありストレスであると言える。 と安心を得て数年程、妊娠が発覚。 「むずむず脚症候群」の症状が強くなって戻ってきたではないか。 しかもほとんど毎夜、数回にわたって。 脳的理解の安心感と、現実の不快感はまた別のことである。 鉄欠乏のせいであれば、今度の検診で鉄剤を処方してもらえるようにお願いした方が良いのかもしれない。 数値的には問題がなくとも処方してもらえるものだろうか。 とにかく忙しそうな先生に勇気をもって相談してみることにしよう。 急に夏の空気になって、夜になってエアコンをつける。 夏の暑さは好きなのだが、今は少しでも身体的快適であるように過ごしたい。 かえるくんは冷やさないようにしないといけないが、母体が快適であるべきだろう。 dTVの解約前に何かとても古い邦画が観たいと思い、「失楽園」を観てみた。 滾滾と陰鬱な話だった。 バッドエンドとされているが、本人たちからすれば全然バッドエンドではなく寧ろハッピーエンドなのだろう。 それにしても私はいつしか、盲目的で情熱的な恋物語には全般的にあまり興味が沸かない。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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