たくさん階段を上ったり下ったり、ちょっとした山を上ったり下ったり、そして今日、太ももあたりがとても筋肉痛である。
階段を降りるとき、へんてこな動きになってしまう。 プールには割に頻繁に行っているのにこんなことになるわけだから、プールでは足の筋力は養われないらしい。 また、やっぱり運動が目的ならば、浮力でも借りないと我が体重を支えるのが辛い。 道後温泉に行った。 基本的移動は車で、運転がまるでできない私はちゃっかり座っていただけだけれど、旅はやっぱりよく歩く。 飛行機に乗るのは去年の9月終わりに長崎に飛んだ以来だろうか。 飛行機に乗るのはいつだって仰々しく大それたことのように感じるし、新しい気分になる。 二次元バーコードでSuicaのように乗れることに、たぶん去年も驚いて、また再び驚いてしまう。 自分の都合である程度したいがままに予定を調整して平日に旅行に行けるのは、なんだか本当にしみじみ良いなあ、と思う。 土日休みの概念はすっかりないけれども、平日の昼間にレッスンが結構入ることを考えても、そんなスタイルで働いている人は決して少なくないようだ。 それでも、朝寝て昼に起きる人は案外少ないけれど。 いつも通り、特別に道後温泉に行きたかったわけでも、何か特別に目的があったわけでもない。 どこか行きたい、というところから始まって、そんな話を生徒さんにしていたら愛媛の出身の方がいらして力のこもった説明をされたので行ってみることにした。 尤も、その方が最も力説していた場所には行かなかったけど。 日本の地方に行くといつも思うけれど、地方の空港周りや市街地や市街周辺の風景というのはどこも似たような雰囲気がある。 おばあちゃん家の近くみたいだとか、この前行ったあそこに似ているとか、あの海岸沿いもこんな感じだよねとか。 もちろん似てはいても全然別物なので、その地ならではの風景や情緒がそこには存在しているし、旅を共にする人が違っていたり、過去の私でない私もいるわけだ。 今度旅行に行くときは、とりあえず行ったことのない別の場所をプランニングするだろうけれど、例えば一緒に行く人が私の行ったことがある場所を切望したなら、私は迷いなく既視の場所にも行くと思う。 詰まるところ、言ってみれば、私は旅でなくてもどこにだって行きたいし、場所が重要なのではないのだと思う。 ついでに、これは今回また自分について思い知らされたけれど、旅においてのみではなく日常的にも、食べるものも最重要にはならない。 美味しい方がいい、美味しいものが食べたい、というのは常に当然ではあるものの、会話だったり成り行きのハプニングだったりの方がよほど鮮明に記憶に残る。 私にとって食べることを含めて食べ物にまつわる話はかなり面白いし、好きだ。 食べるということは、味覚や視覚や嗅覚だけではなくて、シチュエーションまるごと、ストーリーまるごと、覆い込むような壮大な幅を持ち得ると大げさに言えば思っている。 だが、食べ物のみを自ら最重要に掲げることは滅多にない。 凛と自立した薄味の鯛めしや、出汁醤油卵かけごはんは美味しいから美味しい宇和島鯛めしや、最近いちごづいた私に甘いいちご、思い出の金柑、恐竜の手みたいな亀の手という貝、浮き輪みたいな食感のふかというサメの湯引き、飲まずに持ち帰った木の皮茶、薄味ではなく味のしないお吸い物や、帰りの羽田空港で食べた塩辛い硬めの生ハムも記憶に濃い。 中でも今回の旅で、私が一番、わ、と思った食べ物は、四国カルストへの道中偶然に見つけて汲んで帰った清流の水で割った焼酎が、あまりにも透明で柔らかな美味しい水の味がしたことだった。 焼酎が焼酎でなく水になってしまうような、それが良いのかどうかさえもよく分からないけれど、とにかく水が!という感じがしたのだった。 梅園というか、梅山と言ってもいいような、山の斜面一帯に植えられたさまざまな種類の梅も見た。 硬いまっすぐの枝に蕾が間隔よくついて、ひとつずつ、それぞれが膨らんで咲いていく。 赤やピンクや白や黄色や、それらにも色々あって、さらに花弁の色もそれぞれにさまざま。 最近めっきり撮らなくなったけれど、花の写真を撮るのはやっぱりとても楽しい。 花の首筋というか、がくの部分が好きで、バックから呼吸を止めてピントを合わせ、iPhoneのシャッターを切る。 食べ物の写真を撮って見返したりしないけれど、花の写真は相当に見返したり人に送ったりする。 アレを食べに行きたい!とはほとんど言わなくても、あのお花畑に行きたい!とは言う。 いや、食べることは大好きだ。 梅一輪一輪ほどの暖かさ 服部嵐雪 これはあまりにも有名な俳句だけれど、「去年今年貫く棒の如きもの」のような凄みではないにしても、巧さと潔さが結託しているのをこの句にも感じる。 正岡子規や松尾芭蕉、夏目漱石も訪れたという道後温泉は至るところで俳句を見かけた。 花粉を浴びたせいで喉がやられている。 薬の副作用か、声がガラガラである。 喋る仕事をしているわけなので、とても差し支える。 全体を通して、居心地の良い旅だった。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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