四月になった。
早いですね、早いですね、早いですね、とみんなも私も口々に言う。 時が過ぎることも年をとることも悪いことではないと言い聞かせているような節が私にはあるけれど、そうではないのかもしれない。 月並みだけれど、人は年をとるほど死ぬ確率は高まるのであって、今まさに減っていっている生きている時間をどう過ごすか、と考えると本当は焦らなければいけないのかもしれない。 取りこぼしそうなもっと良いことはないだろうか、生きたいように生きられているだろうか。 ならばのんびりしているわけにいかないではないか!と思ってしまうのだけど、のんびりすることがこの上なく心地よいことだってあるわけで、全てはバランスという言葉に集約されてしまう。 もっと一生懸命のんびりしたり、もっと一生懸命寝たり、もっと一生懸命書いたり、もっと一生懸命息をしたり、もっと一生懸命走ったり。 自分の心の合意の下、一生懸命何かをしたい。 そんなところだろうか。 久しぶりに大好きな小石川植物園に行った。 木枯らしで紅葉が舞う秋の日、年明けのザーザー降りの雨の日、日傘をさした昼下がりの夏の日、新緑がきらきらしている初夏の日。 これまでいろんなときに何度も行っている。 大きくてとても良い場所なのに比較的知られていない。 都会の住宅街に突如現れる森であり、オアシスだ。 これと言って何があるわけではないのだが、広々とした敷地にさまざまな種類の木が生えていて、きちんと土の匂いのする場所である。 どうやら私は桜の季節には訪れたことがないようで桜のイメージはなかったけれど、桜もたくさんの種類が植えられていて全体七分咲きといったところであった。 花や木の写真を久しぶりにたくさん撮った。 花を接写したり、青空を木の枝が描くのを切り取るのが好きなのは昔からである。 何年前とほとんど同じ類の写真を毎度撮っていることに気づき、私は植物の写真をあまり撮らなくなった。 これ以上の発想だっていくらでもあるだろうけれど、そこを追求していく気持ちがなかったのだろう。 これは悲しく切ないことだけれど、仕方のないことだ。 今回、久しぶりに、やっぱり同じような写真ばかりだったけれど、思い出のページをめくるような気持ちで写真を撮って楽しかった。 でも、再燃はしない、そんな気もした。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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