初めて、スチームクリーナーなるものを買ってみた。
長い間、薄く心の奥底にへばりつくように気になっていたもののひとつ、と言っても良いだろう。 しかしながら、私は這いつくばって床の水拭きをすることに、少しのアイデンティティというか執着心を持っていたので、そんな便利な電化製品など買うものかと思っていた。 そもそも家の中に電化製品含め場所をとるものが増えることは好きではないし、細かいところまで掃除をするなら絶対に手作業の方が上だ、というやや盲目的な手信者であった。 と言うのも、いただきもののルンバがあるのだが、奴は自動お掃除ロボットにも関わらず、自分の居場所に戻れなかったり、同じ場所を何度も掃除していたり、段差に躓いて座礁していたり、息子が酷く怖がったりと、頼りないことこの上なく、最近はほぼ使われていない。 部屋をルンバのために整えれば良いのかもしれないけれど、その前に機械はだめね、となってしまったのだ。 作る方のものにおいては、私はより熱狂的な手信者と言えるかもしれない。 陶芸なら「機械びねり」よりも「手びねり」の方が良いし、ハンバーグも「機械ごね」よりも手ごね」の方が美味しそうに、また価値が高いように思える。 実際にそれを持っているとか使っているとかそうしているに関わらず。 ふと、漫画「アカギ」に出てくる、「麻雀を打つ人間なら知ってるはずだ。追い込まれた状態で考えに考え抜いて切る牌。そりゃもう自分の魂を切るように打つ牌があるんだよ。その魂の乗った牌を和了るのは、まるで人の心を食らうようだと。その味に比べたらふぐ刺しなんてゴミみてえなもんさ。この世じゃ人の心が一番うまいんだ・・・。料理だってそうだろう、作り手の心がこもるからうまい・・・。」というくだりを思い出したが、そんなことが私の心の中に残っているくらい、「手をかける」ということを良いことだと思っている節がある。 そうは言っても、私ごときは、上手く作られた「機械びねり」の器に盛られた「機械ごね」のハンバーグを出されても美味しいと思うのだろうけれども。 というわけで長らく、掃除は絶対雑巾水拭き「手がけ」に限る、と思ってきた。 しかしすぐにドロドロべたべたになる息子のせいで、雑巾がけをする回数が増え、辛いなと思うことが増えていた。 ひと月、ふた月ほど検討していたのだが、同じ1歳半ほどの息子さんを持つお母さんのレビューが決め手となって、ようやく、数年越しにスチームクリーナーなるものを我が家に迎え入れた。 ちなみに、6000円ほどのもので、床専用のものである。 よくテレビショッピングなどで宣伝されているような台所のギトギト油汚れや黒く固まった窓の桟をスチームで吹き飛ばすというようなものではない。 クイックルワイパーの拭く面から蒸気が出る、と思ってもらえれば良い。 水を入れて2,30秒で使い始めることが出来るので、悉く説明書が読めない私でも使用方法は簡単である。 クイックルワイパーのように、床に滑らせて掃除をする。 水分で重くなることと、滑りが悪くなるので、多少力は要る。 熱い蒸気が出ているので、少々べたついているところも簡単にきれいにすることができる。 手でやるよりも断然早く、簡単にきれいになるではないか!!! しかも、どれだけ除菌効果があるかは知らないが、熱い蒸気が出ているので何となく除菌によるクリーン感を感じてしまう。 蒸気が出ているので、靴下は湿るし、一時的に部屋の湿度が上がってしまうが、床の仕上がりはすべすべ爽やかである。 水の跡が残るというレビューもあったが、確かに少し残るのだが私はまったく気にならない。 髪の毛などのごみを吸着しておく力が弱いので事前掃除機が必須であることと、かなり狭い場所は入らないので手でやるしかないが、雑巾水拭き「手がけ」よりも断然良い。 家に物が増えても余りあるメリットがある。 家にいるルンバの頼りなさから考えるとこちらの方が断然良い。 自動、はまだ駄目だけれど、機械、の力は認めることになった。 子どもの多いいもうとに勧めてみたけれど、軽く流されてしまった。 ふっくらとして分厚くて重たい焼酎の空き瓶に、母の日でもらったカーネーションを一輪挿ししてみる。 なんと可愛いことでしょう。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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