私は実は、実はというほどのことでもないけれど、一期一会、という言葉が好きではない。
現代的な意味ではおそらく、どんな出会いも一度きりと思うくらいに丁寧に接しましょう、ということだと思うけれど、一期、は仏教用語でいうところの生まれてから死ぬまで、一会、はひとつの集まりや会合ということだとすると本当に「一生に一度しか会えない出会い」ということになる。 良い出会いは続いてほしいと願うし、やっぱりもう一度、もう二度、三度・・・と会いたいものだと思う。 それに、一度きりでその人のどれほどが分かるのだろうと思ったりする。 だから私は人との一期一会の出会いを重んじるというようなことがテーマだという一人旅を何となく毛嫌いしてきたのかもしれない。 もちろん、会わないよりも会った方が、見ないよりも見た方が、聞かないより聞いた方が、人生は豊かになるだろう、それはそうだと思う。 しかし、その続きを知りたいと願っても距離や時間や相手の都合の問題で不具合が生じてしまうことが多いだろう。 まあ一方で、後日何を犠牲にしても続きたいと願えるような出会いというのは、奇跡的なこととしてあってもいいとは思うけれど。 流れゆく時の中で同じ一瞬は二度とない、ということはもうどの瞬間もどの瞬間もそうなわけであって、止めるも止めないもそんなことを言っているうちに、こうしてタイプしているうちに、寝ているうちに、ぼーっとしているうちに、過ぎ去っているわけだ。 みんな明日死ぬかもしれないのだから、確かに、どんな出会いも一度きりと思うくらいに丁寧に接しましょう、ということなのだと思うけれど、刹那的に生きることに大きな憧れを抱いたり、刹那そのものに対して重きを置くというのはなんだかしっくりこない。 そもそも全てが刹那的であり、どうせどうにも刹那的にしか生きられないのだから、そこで作用するのが個人の意志であって、双方の意に叶えば流れゆく時間を共にしましょう、というのは素晴らしいことだと思う。 その関係が何度も会っていくうちにどうなっていくかは全然分からないけれど、一度きりよりは襞は多くなるだろうし、何かは紡がれていくだろう。 良い回もそうでもない回も良くない回もあるだろう。 ただそれでもお互いに対する敬意と互いが共有し得る何かへの探究さえ尽きなければ、おそらくたいていは良くなっていくものなのではないだろうか。 だから、一期一会を楽しみましょう、よりも、もし機会があればまたお会いしましょう、よりも、またお会いしましょう、がいい。 またお会いしましょう、ということの実現には高くも低くも様々なハードルがある。 そのための提案や連絡や、互いの都合や気分や体調やお金や距離や、そんな色々なハードルを合意で越えて時間を共にするわけである。 会社に行って顔を合わせるとか、結婚してあるいはルームシェアで同居する、ということはちょっとここでは置いておく。 いや、それも置いておく必要は無いか。 とまあ、刹那に生きる、とか、孤独を愛す、とかということが我が指針であるというような言い方を耳に入れて、本当にそう思っているのだろうかと屁理屈を言いたくなった。 書いていて思ったけれど、これは総じてしまうと、私が寂しいのだ!というふうになってしまったような気がする。 部屋が荒れていたのでいつもの掃除を久しぶりにする。 埃は布団や衣類から来るのだろうけれど、どうしてこんなにさんさんと積もるのだろう。 オアシスをシャッフルして、度々リアムにもノエルにも引っ張られながら磨いたり片づけたりする。 ビートルズのI Am The Walrusのオアシス版が回ってきて、やっぱり良いなあと思う。 いつかにYou Tubeで見たオアシスのI Am The Walrusは色んな意味で絶品だった。 ついでにお手本などをコピーしたり、書類をまとめたり書いたり、花の枯れた部分を切ったり、やらねばならないというかやった方が良いことを書き出したり、メールを送ったり、HPを更新したり、あれやこれや。 個人事業主というのは、社長業も広報も営業も経理も総務も制作も編集も清掃も、言ってみれば全てを自分ひとりでやらねばならない。 まあ身の丈で仕事をしているわけなのでそんなに大したことでもないのだけれど、そして今もある部分においては外注というかシステムを借りているけれど、稀に雇われとしての雑用はものすごく好きな私が自分の雑用となると面倒で仕方がないことになったりもする。 ミントの精油で二度目の水拭きをして、ミントティーを淹れて、ミントの煙草を吸って、ミントの精油を焚く。 さて書の練習でもしよう。 私が去年揮毫したCDと、貸してもらったミスチルでも聴こう。 明日はお味噌汁を作ろう。 鍋に水を入れて、鰹の厚削りを浸してから眠るとしよう。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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