最近めっきりまともなごはんを作っていなかったけれど、寒くなってきたのでまともにごはんを作ってみる。
夏より冬の方が、ごった煮の季節でもある。 本日のおしながき ・ピーマンのくたくた煮 ・冬の間のごった煮 ・トマトとおじゃがのオムレツ ・納豆と葱を詰めて、栃尾揚げ ・幡豆の赤出しお味噌汁 ・白ごはん ・御麦酒 というおしながきのイメージを書において仕立てたかったという理由も大きい。 結局私はごはんを作ることよりも、字を書いている方が真剣だったりする。 このことが望ましいかどうかは分からないけれど、私において真剣に興じることができたのであればやっぱり望ましい。 ピーマンは、二つ割りにしてヘタの部分を折るようにして種と一緒に除きます。 熱したフライパンにサラダ油を少し、ピーマンの外側を下にして並べます。 時々、ピーマンの薄皮が弾ける音がして油がぴちっと飛んだりしますが我慢します。 ピーマンの外側に焦げ目がつくまでじっくり焼いたら、ひっくり返して少し焼き、お酒・みりん・醤油・すりごま・水を合わせておいた調味液をダッと入れます。 味の締まりに唐辛子も一本、じくじくと調味液がなくなってくる頃合いで出来上がりです。 こういったものは熱々よりも、冷たくならない程度の常温まで冷ました方が美味しいように思います。 くたくたになったピーマンに調味液が良く染み込んで、ピーマンのやさしい苦味と相まって、ごはんにもビールにもよく合います。 冬の間のごった煮、は主に白菜の煮物です。 今は秋ですが、おおまか夏季と冬季でごった煮は内容が異なります。 まず、豚ひき肉を大きな鍋に油を敷かずに炒めて、過去に肉本体に塩胡椒をすると味が良くなった経験があるので、ここで軽く塩胡椒を振ります。 白菜はざく切りにして洗って、豚ひき肉が炒まっている大きな鍋に放り込みます。 えのきだけとしめじをほぐして、油揚げを太め千切りにして放り込みます。 蓋をしてしばし、具材全体が汗をかいてきたら、酒をどばばばと入れます。 鰹粉もざざざざと入れます。 入れ忘れていた生姜もひとかけ、ふたかけ分ほど入れます。 木べらをグーにして握って、全体を大きくかき混ぜながらあとは煮るだけです。 味見をして、塩と醤油と、砂糖を少し。 これは一度冷まして、再度熱々にして食べます。 肉様と油揚げ様に支えられた白菜が幅を利かせる、渾然一体感が重要な煮物です。 生姜を入れると「本格的だ」と言いたくなるのはなぜでしょう。 次の日はうどんを入れると美味しく食べられます。 和風ばかりでは飽きてしまうので、トマトとジャガイモを使って、スペイン風オムレツも作ります。 最初にベーコンを2枚ほど、細切りにして油がしっかり出てカリッとするまで辛抱強く炒めます。 ベーコンがじくじく炒まっている間に、トマトとジャガイモと人参は粗く細かく切ってベーコンの入ったフライパンに入れ、ジャガイモが透き通ってくる感じがするまで炒めて、塩胡椒をしてお皿に上げておきます。 卵4個をどんぶりに割入れて、牛乳をたぷっと入れて、かき混ぜます。 卵が変に火が入ってしまわないようにと少しの祈りを込めて、早々と冷めたと決めつけた野菜の角切りたちをその中に入れて混ぜます。 顆粒コンソメと細切りのモッツァレラチーズも入れて、重みのある卵液ができました。 フライパンを熱し、バターがあったのでナイフで少し切って、バターが溶けるのを待ちます。 家の熱源はIHで温まりが遅いので気長感が必要です、やっぱり熱源はガスが良いです。 重たい卵液をどどどどっと一気にフライパンに流し入れて、しばらく放っておきます。 卵液の端が焼けてきて、全体にふるふると固まってきたら一旦平皿にとって、えいやっと、後は野となれ山となれなんてことを一瞬だけ思いながらひっくり返します。 少し崩れて、卵液が大さじ2くらい飛び出ましたが大丈夫です。 蓋をして蒸し焼きにして、全体がふっくら押し膨らんで来たら出来上がりです。 ベーコンとチーズとコンソメのしっかり味なので、ケチャップなんかは要りません。 栃尾揚げが美味しい、と3,4年前に友人に聞いたような気がして、それを偶然スーパーで見つけたので作りました。 明日がその友人の誕生日であることを途中で思い出しました。 栃尾揚げは、厚揚げと油揚げの中間くらいの、分厚い油揚げです。 中のふかふか感も厚揚げと油揚げの間くらいです。 ネギを粗みじん切りに刻んで納豆と混ぜ、半分に切って切りこみを入れた栃尾揚げに詰めます。 トースターで栃尾揚げがカリッときつね色に染まってくれば出来上がりです。 ひとつが名刺の2.5倍くらいの大きさがあるので、包丁で切ったら、中身の納豆が雪崩のようにどどっと出てきてしまいました。 食べるときにポン酢でもかけると良いでしょう。 お味噌汁は、私の育った家の味です。 赤出しは塩分が強いなどと思われがちですが決してそんなことはありません。 汁物用の小さな鍋をミートソースで焦げ付かせてしまって捨ててしまったので、フライパンで作りました。 豆感がたっぷりなので、負けないように鰹の厚削りで濃い出汁を取ります。 水にしばらく浸けておいてそれから火にかけると鰹の旨味が搾り取れるような気がします。 鰹の厚削りを握って味を出し絞るようなイメージで黄金の出汁が取れたら、豆腐を手のひらの上でそっと切ってじゃぽんと入れて、なめこを一袋ずるんと入れます。 なめこのぬめりでとろみのある泡が沸いてきたら火を弱めて、こんなもんかな、とお玉で掬った味噌よりも少なめの味噌を溶き入れます。 こんなもんかな、と思う味噌の量はたいてい多いです。 味噌を入れたら煮立ててはいけません、これはけいこの教えです。 沸騰直前で火を止めます。 お味噌汁は出来立てが一番美味しいです。 たくさん作ってはいけません。 私がメニューを考えると、どうしてもメイン料理が何なのかがぼやけてしまう。 肉料理たる肉料理を私はあまり作りたくない、それは生肉を触ることがあまり好きではないからだ。 ちゃんと作るのならば美味しい方がいいに決まっているので、今回はいろいろな面倒なステップを端折らずに作った。 器はこれよりもこれの方が良い、と見栄えへの妙な美意識も走り出して、盛った器を盛り替えたりもした。 RCサクセションとザ・バンドとドアーズを聞いている間に全ては出来上がった。 出来栄えは、上々。 それもそうと、お品書きを書いているときに、「おビール」「お品書き」「おじゃが」の「お」について思いを巡らせていた。 丁寧語としての「お」の使用方法やシチュエーションにおけるカテゴライズについて。 一般的には、外来語に「お」をつけるのは日本語的に間違いであるとするというのが主流の考え方のようで、「おビール」「おコーヒー」はその考え方を用いると正しい用法ではないらしい。 まあでも実際に使われているわけなので、言葉は生き物であり、時代によって言葉の意味は変わり広辞苑も改訂されていく、わけなので考えてみるには値するだろう。 前提として、丁寧語である「お」は、“美しい言葉づかい”を目標に使われているものだろう。 多くは女性やサービス業に従事している人が用いる言葉とも言えるだろう。 そしてそれらは時に過剰のようにも聞こえてしまって、違和感を覚えるときがある。 銀座のクラブのママや“お上品”な奥様が言うようなイメージで、あくまでイメージ、「おフランス」的な分類にされるのが、「おタバコ」「お紅茶」「おビール」「おトイレ」「お車」「おセンス」「お上品」「お下品」「お受験」「お醤油」「おソース」「お大根」などなど。 気になるのが、おそらく「おネクタイ」「おライター」「お人参」「お玉ねぎ」「おバス」「おイタリア」などとは言わないと思うのだけれど、それはなぜなのだろうか。 「おじゃがいも」とは言わないのに、「おじゃが」ならばありそうなのも気になる。 「おケータイ」とは聞いたことがないけれど、何となくどこかでは言われているような気もする。 きっと、「お焼酎」なんて言い方もどこかでは言われているだろう。 また、上記の内容ともかぶるけれども、幼児に対しても過剰に「お」は使われる。 「お机出してきて」「お茄子も食べようね」「おうどん食べる?」「お布団で寝ようね」「おリボンつける?」「おズボン履こうか」「お手てつなごう」などなど。 普段大人同士ではつけないような人でも幼児との会話では「お」を過剰につけるわけで、しかし幼児にとってみれば「お」などない方がシンプルで覚えやすいように思うのだけれど、私でさえも幼児に対しては無意識に言ってしまっていることもあると思う。 ここには、「お」を付けた言葉の方が丁寧で美しいとされていて、子どもに対しては、この後社会で愛されるべき人になってほしいという無意識で暗黙の願いが込められているのではないだろうか。 単に、「お」を付けた方が丁寧で丸く優しい感じがする、という理由だけではないような気がする。 敬語には尊敬・謙譲・丁寧があって、例えば「お品書き」は「品書き」と言う人は聞いたことがないのは、「お品書き」の「お」は主にお客に対して使われる謙譲語で用いられるだろうからそれが広く一般的に定着しているのだろう。 そういうことは少し置いておき、あくまで私基準であるが、どんな時に「お」が過剰に聞こえるのか、また同じように思える単語でも「お」を付けるものと付けないものがある区別は何なのかが気になるところである。 あと、私が言いたいのは、“お上品”とされているその“お上品”の設定を空気のように仕向けられた時への反発があるのかもしれない、とこれを書いていて思った。 “お上品”であることが悪いことでは全然ないけれども。 あ、「おばけ」は「ばけ」と言う人はいなさそうだし、「化け物」は「おばけもの」と言う人もいなさそうである。 いつものように、思考は既にとっ散らかって、時間切れである。 誰かと話してみたい。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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