桜の花びらがベランダに4枚、落ちていた。
30mほど先に1本の桜の木が見える。 きっとあそこから風に乗ってやってきたのだろう。 夜になって思いの外寒くて、スプリングコートでは自転車に乗れないと、歩いて駅まで向かう。 眼鏡では視力が低くて、だいぶ近づかないと信号の交差点名が見えない。 最近3日に一回というハイペースでペン字を習いに来ている新中学一年生の男の子がいる。 まあ本人の意向ではなくて、お父様の意向で。 本人にあまりやる気はないので、私はやる気スイッチを押せたらなといろんな方向からあれこれ質問してみたりお喋りしてみたりする。 私との年齢差はお父様の方が近いだろうけど、私は親になったことがないので、お父様の気持ちよりはこの男の子の気持ちの方が想像しやすい気がする。 所謂中学受験戦争を勝ち抜けた彼にどこの大学に行きたいのと聞いてみたら「早稲田」と答えた。 別に特段の希望ではないようだったけれど、「私早稲田だよ」と言ったら、羨望と疑念がちょうど半々に入り混じった顔で私のことを見た。 なんだかハッとした。 なぜ疑われてしまったのだろう、ということもさることながら、学歴というのはその場では証明ができないのだ。 大学のことを話せるとか、HPに載っているとか、そんなことでは証明できない。 「本当にそうなんだって」と言えば言うほど、こちらだけがどつぼに嵌っていくようだった。 別に私が早稲田卒であろうと何であろうと私がやりたいレッスン内容にも、あわよくば彼に知ってもらいたい私という人間性の何かには何にも関係がないので、彼のために卒業証明を取ったりはしない。 そう言えば今まで、学歴を疑ったことも疑われたこともなかったけれど、誰にとってもそれが事実であることをその場で証明できる人はほとんどいないだろう。 そして、彼が私の学歴について本当に疑っていたのかということさえも、彼がそう明言したわけではないので分からないと言えば分らないことだ。 思い返すに、今よりもずっと意識の遠のいた学生生活を送っていた私だけれど、「早稲田はいいところだよ」と疑いのかかった身から言っておく。 全般的に投げやりな態度をとる彼が、当初とりあえず春休みだけでも、とお父様に依頼されていたのだけれど、(中学校が始まっても)続けてもいいよ、と言ったらしく私はそれが嬉しい。 「宮本から君へ」に続いて、「キーチ!!」を読んでいる。 あと、貸すとは言ってなかったらしいのに持ってきてしまった「マンガは哲学する」も読んでいる。 「デビルマン」も買ったけれど、積読状態の本が多すぎていつ読むだろうか。 哲学“的”なことを考えることは好きだけれど、哲学というのはすべてを平等に疑って一旦地表に下ろし、あらゆる側面を論理立てて検証・思考せねばならず、その論理的思考に私の頭はすぐにショートしてしまう。 哲学的論理考察だけならまだしも、飛躍したような、あるいは飛躍していると私が勝手に思っている例示などを提示されると、何が何だったっけ?となってしまう。 私は科学的なことにも興味があるけれど、何にしても突き詰めるほどの思考体力がないのであって、およそ学問的なタイプではない。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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