5年ぶりに、SNSを通してご連絡をくださった方がいた。
SNSはやはり人とのつながりをいとも簡単に現実化するときがある。 別に全世界に対して窓を開けていても、大したことは起こらないと言えば起こらないし、決定的な良いことや悪いことが起こる、たいていの選択はメリットとデメリットをどう測るかの決断に寄るしかない。 その方がなぜご連絡をくださったかというと、再び字の練習をしたくなったということではなく、第二子誕生を目前に名前を一緒に考えてほしい、とのことだった。 5年前、その方はコンサル会社に転職をするタイミングで、顧客に手書きで書きながら説明するのでその書き方を教えてほしいとやってきた。 転職先はとても忙しく、予め5回ほどしか受けられないとのことだったので、それに合わせてプレゼン時の文字の書き方などを指導させていただいた記憶がある。 しかしながら、最後の2回ほどは、ちょうど初めてのお子さまが誕生される直前ということを打ち明けられ、名づけで悩んでいるということだったので相談に乗って差し上げた。 差し上げた、というよりは、名づけ好きの私はかなり盛り上がったしまったと言った方が良いのかもしれない。 あれこれとお話をしながら、名前の案を色々と出していくうちに、私もその方もピンとくるものがあって、それを家に帰って奥様に言ったところ、奥様がたいそう気に入ってなんとその名前が付けられてしまった。 私が名づけ親になってしまったその子は、当たり前だが5歳になったそうだ。 当時、今はなきお稽古ごとサイトからの連絡だったので、双方直接の連絡先を知らずにいた。 なのでInstagramの名前検索で探して、「もしかしたら竹内先生ですか?」とご連絡くださったのだった。 Instagramのメッセージを介して、すぐに日程が決まり、お越しになった。 5年の時を経て、お互いにマスクをする時代となり顔の記憶は朧気だったが、話始めるとありありと当時の記憶がよみがえってきた。 早速名前の相談をする。 私は名前を考えるとき、いくつかの方針がある。 ・見たことがない漢字をあまり使わない ・漢字の読み方は一般の人の想定の範囲内 ・漢字や言葉の意味において名前負けしづらい ・自分の子ども以外は、その人の要望を取り入れる ・流行っていない(ありそうだけど、聞いたことがない)、少し個性的 ・苗字との相性が良い(占い的画数は全く気にしない)、字面が良い、書いてカッコ良い(書きやすい) といった感じである。 曲がりなりにも書道家なので、最後の書いてカッコ良いというのは重視している。 画数の多い少ないの組み合わせ、形の似通った字を並べない、払いで終われる、などかっこ良くしやすい組み合わせというのは存在する。 あとは親の願うとおりでなく、その子自身が自立した人格になってほしいという意味で、あまり願望のこもった名前にしたくないというのは、完全に私の思いなのだがお伝えはしている。 まあ、自立した人格になってほしいという願望が強く込められていると言えばそうなのだが。 今回もあれこれわちゃわちゃとお話して、お話の中でキーワードを拾いつつ、即興で考えつつ、その場で奥様へ電話したりなどもして。 優先順位を付けて3つほど、筆でお名前をお書きしてお渡しした。 そういえば息子が生まれる前に、文通をしていた三島のじいさまに、候補の名前を書いてもらったことをふと思い出す。 あの書は今でもあるけれど、じいさまはもういない。 5月の半ばがご出産ということで、決まったらまたご連絡しますとのこと。 何はともあれ、ご無事の出産を終えられますよう、心からお祈り申し上げる次第である。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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