雨降りの朝や人気のない夜には、何かを煮たくなる。
ぬるっとした薄皮で覆われている新玉ねぎを剥いて、ザクザク切って。 一個だけしぼみかけていたピーマンを細切りにして。 刻んで冷凍してあった油揚げをコーヒードリッパーで油抜きして。 見たことがなかった缶詰のシールの蓋を剥がして。 生姜を皮をむかずにそのまますりおろして。 全部フライパンに入れて、煮る。 酒と出し粉と塩を入れて、最後に醤油を回しかける。 水分を飛ばしながら火を入れて、味見をしてみると醤油は要らないくらいだったので、最後に卵でとじる。 卵とじにする構想などなかったわけだけれど、これはこれで。 この翌日、小松菜一把をざざっと洗って、ザクザク切って。 前日入れ残したらしいジップロックの隅に1つだけ残っていた油揚げを取り出して。 前日と同じシーチキンのシールの蓋を剥がして。 しめじとえのきの石づきを切ってほぐしながら、半分を冷凍用にジップロックに入れて。 生姜は皮をむいて小さく刻んで。 高野豆腐を水で戻して、ぐぐぐと切り分けて。 全部鍋に入れて、煮る。 酒と出し粉とみりんと塩を入れて、最後に醤油を回しかける。 味見する気がしなかったので、とりあえず煮込むまで。 雨降りで寒いので、緑茶を淹れる。 急須に入ったお茶の濃さが変化していくから、緑茶はマグカップに一気に入れてしまうよりも小さな湯呑みで飲んだ方が楽しめるし美味しい。 いただきものの神戸プリンや夏みかんのどら焼きとともに。 俳句に苦心しつつ、お借りした原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を読む。 小説を読むのは随分と久しぶりだ。 小説は文章のテイストの相性で読めるもの読めないものがある。 それに、文章のテイスト以上に私はSF的な内容だったり、時間が行ったり来たりするものだと脳が付いていけないので読めないというか頭に入ってこない場合が多い。 推理小説もたいてい何がキーになっているのか、どう伏線が張られているのか、ということをそもそも観点として考えていないし、そういったことへの理解力が乏しくて分からない場合も多い。 この「本日は、お日柄もよく」は、私にとって、とても親しみやすく読みやすい。 言葉が丁寧な文章というのは、丁寧なつくりの和食を食べているような気分になって、ほっともするし少し身を正される思いもする。 原田マハさんの文章は、高級懐石的な感じではなく、中野あたりの小さな定食屋の丁寧につくられた小鉢の肉じゃが、メインの金目鯛の煮付けとかでもなく、そんな感じがする。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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