松の内を過ぎて、ようやく日常が戻ってくるかと思ったら、今度は再びの緊急事態宣言とのこと。
テレビのコロナ報道は気が滅入るので、もうめっきりテレビからコロナ情報を仕入れていない。 前回ほどではないにしても、また仕事にも少し影響が出そうである。 しかし、すべてのリスクを回避することはできないから、私はできる限りのことをしながらできる限りこれまで通りの生活をしたいと思っている。 日々の他愛もないコミュニケーションがいかに人間らしく、また自律神経の均衡に関わっているか。 この一年を振り返った教訓としても、人ごみに突っ込むことは避けた方が良いが、ある程度外との交流を持つべきであると考える。 さて、昨年末の暮れ、唐突に喪中になったわけだが、もちろん1週間そこそこでは喪中の気分が抜けるはずもない。 昨日漸く葬儀を終えて、夫の実家から戻ってきたところである。 慣習を気にしないことを良しとしている私だが、どうしてもおめでとうございますという挨拶ができず、本年もよろしくお願いいたしますという挨拶のみにしている。 いやはや、大変な年末年始であった。 今回の夫のおとうさんの逝去は、きっと、数年後、十数年後、数十年後に何度も思い返される、コロナとは別の語りとなるだろう。 私としては何が大変って、やはり息子を制止することであった。 通夜、葬儀は、1歳半の子どもといるにはとてもとても長かった。 開式前には十分に自由にさせて遊ばせ、開式と同時に抱っこ紐に入れたが、もちろん15分ほどで降ろせと暴れるから、私は息子とお寺さんのお経を聞きながらすごすごと後ろに退散していった。 それでも、会場のスタッフさんは皆良くしてくれて、空いている二階どこでも探索して良いと仰って、息子は上機嫌にあちこち歩きまわっていた。 1歳半という頃は、身体もある程度自由になって動き回ることができ、しかし分別はまだまだ社会性をほとんど持たない、何とも冠婚葬祭等には向かない頃である。 どうにか大泣きにならないようにだけはしようと、私は式よりも息子に集中しようと最初から決めていた。 機嫌を損ねて大泣きされることだけ避けられれば上出来である。 息子は私のマスクを取ってげらげら笑ってみたり、階段を往復したり、消火器を触ってみたり、エレベーターのボタンを押してみたり、少し外に出てみたり、とにかくぎりぎりまでやりたいようにやらせた。 小さな彼らにとってはこの世界は、アドベンチャーワンダーランドに他ならない。 しかしながらそれは常に危険と隣り合わせで、転んで泣くくらいなら良いけれども、もし階段からすっ転げてしまったり、道路に飛び出して車にぶつかるなんてことがあったら、本当に一瞬にしてその命は潰えてしまう。 私は彼の最高保護責任者の一人として、心身を削って見守る。 出棺の前、棺にお花や思い出の品を入れる前に、息子はお腹が空いたと喚くので、お姉さんが用意してくれた蒸しパンを食べる。 また少し復活したが、抱っこ紐を見ると乗ると言うので乗せると程なくして寝てしまった。 私はここでようやくおとうさんを思うことができた。 どうやら私は反射のように、死んだ人を前にするとどうにも涙が出てしまう。 自分の父親を思い出しているわけでもない。 厳然たる死と、圧倒的なまでにここにある身体。 私が今「ある」と言ったのは、私自身がおとうさんという存在が「もういない」と認識しているからだろう。 もういない、もう会えない、もう話せない、あと一度だって。 焼き場に行って、身体を焼いて、骨を見た。 父の時もそうだったが、骨を見たら少しほっとした。 もう泣かなくても良い、そんなふうに思った。 息子はこの年末年始、慣れない人とたくさん触れ合って、とても刺激的だっただろうと思う。 困ったことに、私への後追いがものすごくエスカレートしてしまった。 ストレスがかかったとは思うが、慣れない人や場所の刺激はある程度大切だと考えている。 出来るならば子ども同士、いとこ達ともっと遊ばせてあげたい。 この10日間ほど、息子を抱っこしまくっていたせいか、首やら腕やら腰やらが単なる筋肉痛ではない痛みを起こしている。 今年の目標はと聞かれ、何だろうと逡巡した結果、「野望を作る」と回答を出した。 沸き立つ壮大な野望を自然発生的に抱いたことは未だかつて一度もないし、野望を持ったところでそれに縛られて自分を苦しめるのではないかと思う心から野望という言葉を自ら発することはほとんどなかった。 なので、あえて、「作る」ことにしたらどうだろうか。 「目標」ではなく、「野望」なのだから、スケールの大きさが必要である。 さて、どんな野望を作るのか。 まずはそこから考えねばならない。 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
0 コメント
あなたのコメントは承認後に投稿されます。
返信を残す |
勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
|