奄美大島の泊まったホテルのことを書こうと思っていたのだが、すっかり東京と妊娠の日常に飲み込まれて色を失ってしまった。
口頭で語ることで伝承するとしよう。 さて妊娠六か月。 妊娠中期は初期に比べると比較的身体も心も落ち着いて暮らせるとは誰が言ったのか。 ある男性は「ここからは妊娠黄金期だね」と言っていた。 確かに、世間的に言う妊娠期間の「安定期」なのだろう。 私においては、困ったことに黄金期とは呼べないというか、むしろ身重感で全身が疲弊し始めている。 腹の子は急速な成長を遂げているようで、私のお腹を日々ぱんぱんに押し広げようとしている。 つわりこそさっぱり治まったものの、総合的な辛さは増している感じがする。 身重によるだるさ以外、特別には腰痛である。 調べてみると妊娠時は大きくなる子宮と出産の準備で骨盤が緩むようになっており、その周辺の筋肉バランスが変わったり神経を圧迫したりして腰痛が起きることがままあるらしい。 お腹も大きくなっていることにより、今までとは異なる歩き方を無意識でするからということもあるようだ。 あれだけ歩いていたのに、いよいよ腰に負担が大きくなってきたようで60分も歩けない。 ソファに寝たら起き上がるのに姿勢を選ばないと起き上がれない。 寝返りを打つにも腰が痛くないように動かないといけない。 病気や老化でもこのようなことが起きるのだろう。 今まで何の気なしにやっていたことがかなわなくなることは、情けないし、焦る。 その他も数々普段と異なる身体の不調は現れている。 それに加え、花粉が飛び始めたではないか。 妊娠期間中の花粉症は治まることもあるとどこかで読んだ気がするが、それも残念ながら当てはまらなかった。 そして安易に薬が飲めない。 もしかすると妊娠の不調と思っているもののいくつかは、花粉症の不調なのかもしれない。 毎年花粉の季節にはやや機嫌が悪くなってしまうものだ。 こんな状態ではあるものの、私なりに腹の子を愛おしく思っている。 胎動らしきものを感じ始めて、腹の中の様子を想像してみたりする。 ちょうど大きめのかえるを腹の中に飼っているような心持である。 羊水の中で透き通った軟骨のような腕や足を、スローモーションで動かしているような。 それが子宮の壁に当たってくにゅっとした感覚が母体に伝わるような。 かえるくん、と呼ぶことにしている。 かえるくん、というようにたぶん男の子だろうと先日の検診で言われている。 かえるくんは、母体がいきなり身体を曲げたりしてうわあああとなっているのかもしれないし、臍帯から少々辛いものが流れてきたうわああああとなっているかもしれないし、母体が緊張したりしていきなり心拍がうるさくなってうわああああとなっているのかもしれない。 かえるくんはかえるくんで大変そうである。 久しぶりに句会に出席。 「過ぎし日の~」の句でとても久々の特選をいただく。 過ぎし日の悲憤のやうなゴム風船 クレーン車は大空を架け春動く 百万の溜息の成す朧の夜 剃り落とす泥棒髭や寒戻り 菜の花や工事現場の握り飯 おむすびで膨らむ頬の少女春
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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