超悪天候の中、上野にて木梨憲武展と、銀座にて細川護熙展に出向く。
昨今人気のある展示会はほとんど予約制となっており、悪天候だから今日はやめておこうとか雨がもう少し収まってからにしようとか、そういう当日の事情は汲まれない。 今回はけいこの分のチケットも取ってしまっており、ざんざん降りの中二人で上野の森美術館に向かった。 本当は9時半~10時の入場時間のチケットだったのだが、私は10時~11時の入場時間とすっかり勘違いしており、美術館の入り口の前で、屋根もない中待つ羽目になった。 既に結構多くの人、20人ほどだろうか、は私たち同様に雨の中傘をさして入場時間を待ちわびていた。 せめて屋根のある入り口まで入れてくれても良いのに、と思ったが、警備員さんにそれを言っても埒が明かないだろう。 やっとの思いで美術館に入ると、すでに多くの人が観覧していた。 さすが芸能人である。 ゴッホやフェルメールやバスキアなどの超有名作家の展示に人は軒並み人がごった返しているが、その他の展示というものは、入るのを躊躇うほどに空いていることが多いものだ。 木梨憲武展にはとても多くの作品があった。 絵を描くことにおいて、木梨憲武さんはとにかく嬉しくて仕方がないということがよく伝わってきた。 何か訴えたい問題や主張も少しはあるだろうが、基本的には、彼本人が手を動かして絵や何かを創作することが心から好きなんだろうという気がした。 花や手のひらや富士山など、分かりやすいものがモチーフとなっているのはおそらくそういうことだろうと思う。 絵画の場合、花や山あるいは手、あと人の顔を描くとき、それがどんなふうに表現されようとも、鑑賞者は素人でもそれなりに鑑賞しやすいものである。 花や山あるいは手、顔などは、ほぼ例外なくどんな人でも日常的に何かしら思うところがあり、簡素にも複雑にも成り立つ多くの人の共通理解があり、非常に示唆に富んだ記号だからである。 逆に言えば、それを題材に描くのは大変とも言える。 既に先人たちが描きまくっている題材への挑戦は何か新しさを見出すのは至難なことだろう。 それで言うと、書道の場合「花」「魂」「生」などの字は多くの作品があるだろうけれど、絵画ほどはやり尽くされてはいないようにも思う。 木梨憲武さんは題材のレッドオーシャンを気にも留めず「絵を描くことが好き」に見えた。 きっと、どんどんどんどん作品が物凄いスピードで出来上がっていくのではないだろうか。 嬉々として作品制作をしている木梨憲武さんの姿が目に浮かぶようだ。 ちなみに、4年ほど前の私の披露宴のウェルカムボードは木梨憲武さんの色とりどりの花木の絵を参考にさせていただいた。 僭越極まりないのだが、この構図は私にも上手くできそうと思ったからだ。 同じ花でも、ルドンの「グランブーケ」という花の絵画の構図は真似できないが、これなら・・・と。 まあ私の作ったものは、絵ではなく千代紙の貼り絵だったけれど。 細川護熙展では、なんと細川護熙さんご本人がいらっしゃった。 なにやら私とは身分の違う方々とお話していらして、そのお話が済んだら私もあわよくばご挨拶をと思ったのだが、また次の方が現れてお話が止むことはなかった。 部屋に飾れるほどの大きさの絵や書が30~100万円で販売されていた。 今回は絵画と少しの書のみで陶芸の作品はなかったが、陶芸作品を観てみたいなあと思った。 昨日から恐ろしいほどの勢いで「沈まぬ太陽」のドラマ版をAmazonプライムで見ている。 私の「ドラマ力」は自負できるものがある。 映画は2時間の間に、必ず一回は寝てしまって、細切れに見るのだが、なぜか50分ほどのドラマだと何話でも続けて見られる。 いくらドラマは50分の個包装で次展開が気になると言っても、なぜ映画を2時間連続で見られないのかは未だに判然としないが、これは昔からある現象である。 今のところ、全20話のうち、13話くらいを観た。 実に面白い。 1960~90年代くらいの話であるが、表層部分で気になることは、あの時代には会社を辞めるという選択肢はほとんど皆無だったのだなあということ。 海外の僻地を10年もの間、会社の嫌がらせでたらい回しにされる主人公だが、退職するという選択の発想すら一度も描かれていない。 そんなに辛い思いをするなら転職すれば良いではないかと傍から軽々に思ってしまうのだが、あの時代の転職の難易は置いておいたとしても、発想さえないのなら仕方ない。 それくらい、会社=個人のアイデンティティと言えるほどに、骨の髄まで企業戦士だったのだろう、特に主人公は。 あと7話、今夜ドラマ力を発動するかどうか。 しかし、行く末が楽しみでならない。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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