玉ねぎを野菜かごに入れたまま放置していたら、にょきにょきと美しい葱のようなものが生えていた。.
すうっとほっそりと白い流線形に伸びて、先の方は淡い黄緑色にグラデーションして三つ又に分かれていた。 ひと月くらいだろうか。 その間私は野菜かごを開けることもなかったのだろうか。 すうっと伸びたそれは10センチくらいはあった。 ただ私は植物の確実なる動きが何であれ大好きなので見とれてしまった。 冷蔵庫の中は、冷蔵庫の扉を開ける時に点く電気の光しかないし、もちろん野菜かごに水をあげることもない。 それなのに奴らは確実な力を持って然るべき動きを行い、驚くべき変化を遂げる。 それは、自身を終わらせられる、腐敗、の動きとは全く異なって。 何年か前、にんじんも放っておいたら頭から緑が出てきたことがあった。 あらかわいい、と思って写真に収め、頭の部分を切り落として水を付けておくとさらに生えてくると聞いたことがあったので、しばらくにんじんの葉を育てていたこともあった。 今回は写真に収めて、その玉ねぎを切り刻み卵と炒めて食べた。 栄養と水分を取られてしまった玉ねぎの本体は一部が萎びていたけれど、それ以外はその葱のように伸びた部分も全て。 野菜は、食肉は、美味しく食べられるために生まれてきたんだよ、だからきちんと食べてあげないと野菜さんも肉さんもかわいそう、なんてことを偏食の子どもに行ったりすることがあると思うけれど、それはそうは思わない。 遺伝子的にそんな生物がこの世にいるのだろうか。 カマキリの雄が交尾後に雌に食べられるというのもそんなに確率の高い話なのではないようだし。 生徒さんには本当に色々な職業の人がいるけれど、先日数学の先生がお越しになって、私が字を教える傍ら数学を教えてくれた。 国語の先生からは更級日記を教わったこともある。 小川洋子の「博士の愛した数式」の中の博士が愛したe^iπ=-1という数式について熱弁してくれた。 ついでに、「飛行機から一円玉を落とすと痛いのか」という私の質問にも物理法則から説明してくれた。 理解はしきれなかったけれど、空気抵抗と熱の放散によって1gの1円玉だったら飛行機から落としてもいたくはないだろうということだった。 数学の問題を解くのは大の苦手だけれど、数学的世界の話を聞くのはとても好きだ。 飲茶さんの「哲学的な何か、あと数学とか」もとても面白かった。 夢とロマンと人智と、人生がそこにある。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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