少しずつ料理をすることを再開している。
私の悪阻はさほど酷い方ではなかったと思うけれど、何が嫌って自分で作るものが嫌になってしまったことには驚いた。 白菜と大根とシーチキンのごった煮などをとてもよく作っていて、本当に自分で作るごった煮のことを私は心底愛していた。 ところがそのメインごった煮である白菜と大根のことを考えると最も気分が悪くなってしまうのである。 煮物全般、炊き上がる湯気の匂いが私の肺をもやっと覆うような感じで大層心地悪く、ついでにイライラまで煽られることになる。 しかし吐くというところまではまだ随分と距離があって、その苦しみを味わうことがなかったのは幸いだったのだろう。 袋ラーメンや近所の中華料理店やステーキ屋やココ壱番屋のカレーなどに頻繁にお世話になった。 おかげで体重は4,5キロも増えてしまった。 腹の子は13センチほど、子宮はグレープフルーツ2個半くらいな感じに肥大しているとは言え。 勿論悪阻という経験を私は初めてしたわけだが、その渦中にいるとこれは字面通りの「気のせい」なのではないかとよく思った。 しかし何となくその悪阻トンネルをくぐり抜けたような今、不思議なことにそれまでの過去がやっと現実のものに感じられた。 お腹をこわしたときに起こる痛みを終えた後に、痛み全体で疲弊した身体がじんわりとぼうっとしているあの状態によく似ている。 気分が悪くない幸せを、痛みのない幸せを、「気のせい」ではないトンネルをくぐり抜けたからこその実感なのだろうと思う。 しかしながら悪阻は落ち着いたとはいえ、身体の中で日々斬新で革新的な拡張を続ける腹の子のおかげで身体は重くなるばかりである。 あと数か月の間にめきめきと大きくなってくる腹の子を産み落としたそのときには、えもいわれぬすっきり爽快感が待っているだろうか。 ならば今は長いトンネルを憂うことなく、一筋の光に向けて歩を進めるのみである。 土ネギという太い葱を2センチくらいの長さに切ってフライパンに縦に敷き詰める。 にんにくを多めに4片薄くスライスしてその上に散りばめる。 酒をどばどばっと、おそらく100mlくらい注ぐ。 その上に、フライパンのなべ底に触れないように豚バラ肉を乗せていく。 いつかにやった白菜と豚バラの煽り酒蒸しの葱バージョン。 酒の力でにんにくを煽って豚バラを蒸し煮にする。 フライパンごと食卓に持ってきて、ポン酢をかけて食べる。 簡単で旨い。 あとは久しぶりに出汁をとってお味噌汁。 厚削りの最後のちりぢりばらばらこなごなになったところを使ったら、「味!!」という感じが舌に強く残る出汁味濃厚なお味噌汁ができた。 こちらも簡単で旨い。 たくさん寝たのだけれど、とても眠い。 やはり悪阻は継続か。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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