所沢で行われていた小さなフェスに、友人とその子どもに会いに行きがてら行く。
友人の子どもには「東京のおばさん」ということにしているけれど、最初は随分と東京のおばさんのことを警戒していた。 なので私はベビーカーをひとりで持ち上げて階段を上るという、「臨時のお父さん」のような役目を率先して果たした。 友人はそれを面白がって私が登りきるまでエールを送り、階下からそれを写真に撮るべく、なかなか登ってこなかった。 私は言われるがままにチケットを取って何の下調べもせずに行ったけれど、思いがけずムッシュかまやつの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」とPUSHIMの「forever」が聴けた。 「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」は、詞が好き過ぎて一度書として書いたことがある。 PUSHIMも10年ほど前かなりヘビーローテーションで聴いていたので、ざくっと言って、感慨深かった。 薄化粧がどろりと空気中に溶け出すようにとても蒸し暑くて、私たちは汗でべたべたしていた。 夕方ごろに友人宅に戻り、友人は「お風呂に入ろう!」と子どもと私に言う。 私はその発言を、半信半疑よりは少し「信」の方に重く傾いて捉えた。 友人と子ども、そして私が別々に入るのではない、3人で入るのだ。 私は姪とも一緒にお風呂に入ったことはない。 お風呂に入ることになるとは思っていなかったので、着替えも何も持ってきてはいない。 「洗濯もしよう!」と彼女は提案し、「白と黒のTシャツどっちが良い?」と私に聞き、黒はクロマニヨンズのライブTシャツだったけれど、生地が重たそうだったので白と答えた。 大きなドラム型の洗濯機がガタゴトいっているうちに、3人は体を洗って頭も洗って、湯船にまで浸かった。 ミルクせんべいのようなお風呂のおもちゃの楽しみ方を彼女は教えてくれた。 お風呂から上がって、バナナのケーキやウィーンのチョコレートをつまみながら話をする。 彼女の言動は、時々本気なのか本気でないのかよく分からないことがある。 今回のようなことは私が本気と捉えれば実行されるまでだし、二人して嘘なのか本当なのか分からないことを煽ってあおって話を紡いでいることもよくあるような気がする。 彼女は、”嘘みたいな○○”という言い方をよくする。 それは私にとっても本当に”嘘みたいな○○”で、嘘みたいな現実、現実よりも現実、そんな手触りのものが好きなのだろうと思う。 喋っているうちに、いよいよロングヘアになってきた私の髪も、洗ってくれた洗濯物も乾いた。 髪を結わいて、着てきた自分の服に着替えて。 洗わなかったショートパンツを脱いだ場所はどこだったっけと探すと、キッチンの方に脱ぎ捨ててあった。 帰るとき少し雨が降っていたけれど、大丈夫大丈夫、と駅までの道を出発した。 雨は思いのほか強く、コンビニも見当たらなかったので、着ていたシャツをかぶって急ぐ。 友人から「傘ある?雨」というメッセージにも気づかないほど一生懸命早足で。 厚手のシャツが雨でぐっしょり濡れていたけれど、そのおかげで私は案外平気だった。 いつもと違う柔軟剤の香りを漂わせ、所々思い出し笑いをしながら、これを書いている。
2 コメント
ばんず
7/21/2016 01:33:03
いいところで終わっちゃったね話。あはは。
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恵美子
7/21/2016 01:46:23
そだね、フジロック。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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