さて。
初めての息子とふたりの遠出。 懸案事項は多々ありながら、最終的にはあまり頭で考えずにことを決断した。 「考える、とは頭の中で思考する、ということのみならず、身体全身で行うことである」とは夫の名言だと思っているが、私も本当にそうだと思う。 このことは、自分の思考能力に自信がないということを隠しうるのだが、たとえそれをあけすけにしたとしても、考えるとは全身で行っていること、という体感は自信を持って存在するのである。 それはさておき、なんとまあスムーズに新幹線に乗って実家まで帰ってきた。 12時に息子を保育園から引き取り、一度家に帰って保育園の荷物を置いて、私は軽く昼食をとった。 抱っこ紐とヒップシートとどちらで行くか迷ったが、息子が抱っこ紐を持ってきて「だっこ」と言うのでそうすることにした。 決めがたい事象に、他人の要望があるのはありがたい。 13時に出発、地下鉄とJRを乗り継ぎ、東京駅まで難なく到着。 ヒップシートなら息子は度々降りて歩きたいと言ったであろうから抱っこ紐で正解だったかもしれない。 しかしながら、重たいリュックを背負い、11.8キロになった息子を前面に抱えていた私は、この時点でもう肩や背中が吊りそうになっていた。 しかも、新幹線の出発時刻の40分も前に着いてしまった。 ギリギリにはなりたくないとは思っていたものの、早く着きすぎるのも問題である。 とりあえず新幹線の発車ホームまで行き、私はひいひいとベンチに腰を下ろした。 新幹線に興奮した息子に「ちょっと降りて新幹線の先頭まで行ってみようよ」と誘い、抱っこ紐から息子を下ろす。 下載の清風、なんて禅語があるが、文字通り荷が降りて秋の爽やかな風が汗ばんだ私に心地よく吹いた。 息子は揚々と先頭まで歩き、次々出発する新幹線に嬉しそうにしていた。 しかし、新幹線のホームの先頭は鉄柵になっているのだが、鉄柵の幅は結構広く、なんと息子の頭は通り抜けてしまうほどだ。 頭が通り抜けるなら身体も抜けるはずだ。 きっとこの位置から新幹線を見る子どもなど沢山いると思うのだが、なぜこんなに幅広の柵なのだろうか。 これまで一度も、柵を通り抜けて線路に行ってしまった子どもはいないのか。 注視して息子を見守っていたが、案の定柵の間から顔を出してしまった。 私は驚いたけれどあまり強く言うと息子がパニックになるかもと、「だめだよ、だめだめ」と隠しきれない焦りを滲ませながら息子を制止して、そっと柵から顔を抜かせた。 息子にはばっちり私の焦りと不安が伝わり、自分のやりたかったことも遮れられたため、大激怒してしまった。 新幹線のホームに寝転がり、泣いてバタバタした。 まあ思い通りにいかないとこうなること(夫と私はこの状態をストライキと呼んでいる)はこれまでにも何度も経験があるので良いのだが、この状態で抱き上げるのは危ないし辛い。 「あっち見たかったよね、ごめんね、でもあそこから顔を出すと本当に危ないからやってはだめなの」と説明した。 なかなか収まらない様子だったが、その間にも新幹線は何本か出発していったので、やがて少しは気が紛れたようだ。 そろそろ予約席の12号車に移動しようと一緒に歩き出したが、大好きな新幹線が目の前にあるので息子は色々なことが気になって仕方がない。 理由はもはや忘れてしまったが、先頭から12号車にたどり着くまでにもう2回彼はホームに転がってストライキをした。 そうこうしているうちに出発時刻となり、新幹線に乗り込んだ。 息子はさも分かっているかのように、靴を脱ぎ、座席に座った。 私は、リュックの中から新幹線のおもちゃとアルコール除菌シートとお菓子を出した。 ムスコはキョロキョロしながらも新幹線のおもちゃをコロコロ転がしていた。 私はいざとなったら動画を見せようとWiFiにつなぐべくスタンバイをしようとしたが、疲れていたのでとりあえず休息することにした。 出発後は車窓を見ながら、「新幹線だよ。すごいね、速いね」と言いながら過ごしているうちに、程なくして息子は寝てしまった。 何と思い通りの展開か、と寝入った息子の写真を撮り、夫と、心配してくれていた保育園の先生方のLINEに送った。 ちなみに、新幹線の予約席は乗車率3割にも満たないくらいで、ものすごく空いていた。 私は一睡もできなかったが、あっという間に停車まで10分のアナウンスがかかった。 寝ている息子を起こさぬよう支度をしたが、息子は起きてしまった。 豊橋駅では約束通りけいこが待っていてくれた。 東京駅で一悶着あった以外は、何の問題も勃発せずに、最も望ましい形で到着することができた。 息子に「寝てくれてありがとう」と言うのは起きている息子の否定になりそうで言わなかったが、心底「寝てくれてありがとう」と思った。 兄家族の家に行ったり、けいこの実家に行ったり、西松屋に行ったり。 実家への帰省は結果的に疲れてしまうことが多いのだが、今回は旅行が久しぶりすぎて、とても満喫することが出来ている。 続きの備忘録レポートも書きたい。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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