「実は妊娠6ヶ月で」と、友人はさらりと言って、「出産がんばってね」と駅で別れる。
おそらく、次に会うときはきっと、彼女は出産を済ませていることだろう。 妊娠、出産は、私は果てしなく大ごとに捉えていて、誰にとってもおそらくそうなのであろうけれど、周りには小さな子たちがどんどんどんどんと増えていく。 友人の子たちを含めて、私は三が日で5人の子どもたちを抱いた。 3日夕方、新幹線の乗車率は130%くらいだったのではなかろうか。 東京行きの新幹線の指定席が取れず、やむなく、少しの覚悟と期待を持って自由席車両のホームの列に並ぶ。 少しの期待は、ホームで待っている間に破られた。 「次に参ります列車は、前駅の時点で大変混雑しているため、グリーン車のデッキを除く指定席のデッキもご利用ください」と繰り返し繰り返しアナウンスが流れた。 1万円ほども払って、なぜ新幹線で立っていなくてはならないのか。 映画館で立ち見をするくらい嫌である。 普段満員電車にあまり縁のない私は、満員ぎゅうぎゅうの新幹線で、万一にも気分が悪くならないように気持ちを鎮めていた。 無論降りられない、トイレも遠いこの場所でそんなことになっては大変だ。 たとえばもしも、2000円引きなどにしてくれるのであれば、時給に換算して東京まで立っていても良いと思える気がする、だろうか。 西洋系の顔をした外国人と思える人はデッキに座り込んでいた。 私も外国の列車であの状態であればそうしたかもしれない。 新横浜あたりに来たとき、デッキに立つ人たちは皆、安堵の表情を浮かべた。 互いに目線が合わぬよう、身体や荷物が相手を圧迫せぬよう、スマートフォンを見たり、バッグをお腹にぎゅっと抱えたり。 横の他人を警戒して浸食しないように頑張って耐えていたのに、終わりごろには共に試練を乗り越えた戦友感がうっすらと滲んだのだった。 さて、正月気分はもういい。 この三が日、出がけに食べたお雑煮は美味しかったけれど、なんだか美味しいものを食べていないような気がする。 お節や取り寄せのオードブルは冷たいものが多いので、それが大きな原因を占めていると思う。 帰宅した部屋がきれいで良かった。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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