ここ数年で、もしかして10年ほどの期間をとっても、最大の花粉量のように思う。
鼻の粘膜が腫れて呼吸が満足にいかず、目がジュクジュクガビガビになってうまく寝られていない。 息子も少し目が痒そうにしていたり鼻詰まりを起こしている感じがあるが、花粉症だろうか。 朝起きる時には私の眼はウサギのように真っ赤である。 と描写したところで、ウサギって目が赤かっただろうかとふと疑問に思う。 思えば一度も、私は目の赤いウサギを見たことがないかもしれない。 もしかすると小学校の飼育小屋などにいたかもしれないけれど。 簡単にネット検索しただけだが、明治初期に目が赤いウサギが日本でたくさん飼育されていたらしい。 日本で品種改良も行われ、身体の毛が白くて目の赤いウサギが流行、ペットとしての飼育が増えすぎてなんとウサギ税なるものまであったとか。 うさぎ1羽につき毎月1円ほどだったらしいが、その価値は現在で1万円くらい。 大した額である。 明治初期~昭和初期頃に赤目の白うさぎが日本にたくさんいたため、「うさぎは目が赤い」というイメージが定着して残ったのではないか、ということ。 ちなみに普段目が茶色や黒のウサギの白目の部分が赤くなったら、何らかの理由で充血しているということなので病院に行った方が良いらしい。 と涙目の私はひとつ雑学を手に入れた。 すでに日常に飲まれて冷めかかっている沖縄旅行の続きを急いで書いておこう。 2日目、我々一行は雨の中石垣港を出発し、小浜島へと向かった。 石垣島を拠点として、竹富島、西表島、黒島、波照間島、小浜島など数多くの離島への船が出ている。 どの船の1日3,4往復程で、波が高く欠航になることもしばしばあるようだ。 程なくして小浜港に到着。 13キロの息子は飛ばされてしまうのではないかと思うほど、小さな港は風が吹き荒れていた。 私は荷物を背負って息子をがっしり抱いて島の地に足を踏み入れた。 今回泊まったのは「はいむるぶし」というリゾートホテルである。 港にははいむるぶしの送迎バスが待ち構えていてくれた。 「はいむるぶし」とはあのあたり八重山の言葉で「南十字星」という意味であることなどを聞きながら港から5分ほどでホテルに到着。 ホテルのエントランスには大きなシーサーがハイビスカスを咥えていた。 そんな南国のリゾートも、強風と寒さと曇天が暗くしていた。 また、送迎バスもアルコール消毒もホテルの外装も内装もホテルフロントに置いてあるフリーの合羽も、何だかすごく都会的に思った。 ホテルは敷地がとても広いので、敷地内は専用のカートで移動することになっている。 普通免許があれば運転できるということで、免許を取ってから20年ほぼ運転歴のない私もやってみることにした。 私が普段運転しないのは、自分に何か欠陥があるのではないかと思うほどの機械音痴だからである。 あまり大きな声で言えないが、数回の運転の運転経験のうち、アクセルとブレーキを踏み間違えたことさえある。 どれがワイパー作動スイッチなのか分からず、でも雨が降っているからと、たまたま出たウォッシャー液を出し続けてワイパーを動かしていたこともある。 もちろんバック時にハンドルをどちらに切ればどちらに曲がるということも分からない。 運転において最も恐れるべきことは人を轢いてしまうことだ。 ゲームなら人にぶつかってもどこかに転落しても戻ってこられるけれど、実際はそうもいかない。 一度も失敗が許されないなんて私には無理である。 家族からも運転禁止令が出されている。 しかし、リゾートホテルの敷地内は広々とした信号もない道で、人もほとんどいない。 カートは軽自動車よりも二回りも三周りも小さい。 操作はハンドルと、アクセルブレーキバックのみ。 よし、やってみよう。 息子は私の運転の怖さを知らないので「お母さん、ハンドルをおねがいしまーす!」と元気よく言ってくれた。 夫は怖かったのではと思うが、こういったことに超慎重派の夫が許可したのだから、まああらゆる意味において大丈夫なのだろう。 何回やってもバックは試してみないと進む方向が分からなかったけれど、何とか運転はできた。 今後も公道を走ることはないだろうと思うが、あそこでならまた晴れの日にかっ飛ばしてみたい。 かっ飛ばす、と言ってもエンジンは1足しかなく、最大時速20キロメートルほどなのだが。 夕食はホテルのビュッフェダイニング。 本当は街の居酒屋に行く予定だったのだが、事前に電話をすると、すでに満席や、当日前日のみの予約受付や、子どもは入れないなどと断られていた。 ド偏食の息子に、ウインナーとポテトとネギトロ巻と卵焼きなどを乗せて席に戻ったが、ひたすらにポテトしか食べなかった。 持参したドクターイエローの付いたエジソンの補助箸はとても役に立つが、いつもその場に忘れてきてしまう。 息子とは真逆の、ド級の食いしん坊の1歳3か月の姪がいる。 食べ物を前にすると顔つきが豹変し、ポテトやら玉子焼きやらごはんやらバナナやらが次々と吸い込まれていく。 その姿は圧巻で、暫し見とれる。 食べ過ぎないように、でも怒らせないように、いもうとはいつもポン菓子を持ち歩いている。 ざざっとお皿に出してついばんでもらう。 しかしそれもすぐになくなってしまって、少しでも目を離していると大人が残してエビフライのしっぽを齧っていたりする。 子どもの性質、人間の性質、様々である。 食事を終えて、ロビーで三味線の演奏を聴きに行く。 息子はよほど疲れたのだろう、休日のお昼寝は普段はしないが、こてんと寝てしまった。 寝てしまった息子を小4の姪と小1の姪が代わる代わる抱っこしてくれた。 翌日、締め切ったカーテンを一抹の願いを込めて明けた。 どうか、曇りでも良いから風がやんでいますように・・・。 願い空しく前日よりも木が大きく揺れていた。 どんぐもり、強風、低温、時折雨が降っている。 することがないので、島のバス観光に申し込む。 1時間ほどバスでゆっくりと街を巡ってくれるツアー。 車窓も雨で見づらいけれど、シュガーロードと呼ばれるサトウキビ畑の一本道をバスは走った。 草原のような景色が広がる丘陵地帯は北海道の富良野を思わせた。 小浜島は人口700人ほど、7~8割が高齢者。 街はとても小さく、道路も狭い。 雨だからということもあると思うが、人気がない。 沖縄らしい石垣づくりの家々はとても年季が入っている。 毎年数多くやってくる台風にかろうじて耐えている感じだ。 リゾート地としての小浜島の顔と、元来の小浜島の顔。 そのギャップはとても大きく、今回の旅で接した人のうちほとんどは都会からやってきた観光業の人で、島の住民をあまり見なかったのではないだろうか。 バスの運転手さん、船の運転手さん、小浜港のお土産屋さん、くらい。 小浜島にははいむるぶしの他に星野リゾートが手掛けるリゾナーレというホテルがある。 その2つがこの島の二大宿泊施設で、あとは小さなちいさな民泊がいくつかあるだけだ。 2つの巨大リゾートは現在のところとても成功しているだろう。 2月のオフシーズンでもホテルはほぼ満室だそうだ。 これらのホテルは安心安全便利清潔高品質均質、であって、かなり都会的である。 都会の人が手掛ける都会の人向けの宿泊施設だ。 都会の休日、都会のコミュニケーション。 もちろん子連れの身としてとても過ごしやすかったし、良いホテルと思う。 しかし、上手く言えないのだが、極上の何か、と言うのはそういうことではないと思う。 極上の何か、が何なのか、私にもよくは分からないのだが。 このホテルには何かが足りない、と思った。 これはホテルへの批判や要望ではなく、私自身が旅に求めているもの、だと思う。 そういえば小浜島には、「コーラルアイランドリゾート」という潰れてしまったリゾートホテルがあるらしい。 バスツアーはその跡地も通ってくれた。 ギリシャのような白い建物は品があっておしゃれだった。 しかし、無論人気はなく、建物には大きなクラックが入り、廃墟の雰囲気である。 今はいくつかの建物は貸別荘として利用されているだけだということだが、リゾート業も建設費用や維持費用など相当に難しいのだろう。 バスの運転手兼ガイドのおじさんが、「晴れていれば絶景です」「晴れていれば西表島が望めます」「晴れていれば、晴れていれば・・・」と連発していた。 バスに乗っている全員が同様のことを切に思っていただろう。 バスツアーから戻り、姪たちはけいことアクセサリー作りへ。 1歳の姪と3歳の息子は一緒に遊ぶでもなく穏やかにわちゃわちゃとやっていた。 夕食もまたお店にいくつか電話をかけるものの、すべて断られてしまった。 仕方がないのでホテルの別のレストランへ。 沖縄最後の夜、ピザやハンバーグやカレーやチキンなど、都会的なパーティーをした。 平屋のレストランの上は海と星空を眺められるようになっている。 スマホなど飛ばされそうな暴風が吹いていたが、ちくしょーと、写真を撮った。 息子はまた食べている途中で寝てしまった。 彼は家族以外の人と過ごすととても疲れるらしく、よく寝るようである。 前日は部屋の風呂だったが、大浴場にも行った。 姪と息子と3人で。 男の子は未就学児は女湯でもOKとのこと。 露天風呂でも、やはり曇天を見上げながら、これが青空だったらなあと何度も思った。 翌朝は早く、急いで朝食を食べてチェックアウト。 船に乗って、二度飛行機に乗って、電車に乗りついで、夕方前に帰宅。 息子は数日経った今も、飛行機を見ると「おきなわ!」と言っている。 <YouTube> 【書道・二度書きの呪い】複製術を極めて『作品(偽造パスポート)』を作ろうの巻?!【書道系ラジオ】 - お字書き道TALKS #016 <note> 【書道】二度書きなんてしないなんて言わないよぜったい 現役書道家プロファイルVol.1【池田勝一】
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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