さてさて、暑い。
ベビーカーに乗せた息子が寝るとベビーカーの幌を下ろす。 足だけがベビーカーからぴょこんと出て、道行く人がそれを見て、「可愛いあんよが出てる」と立ち止まって何度微笑まれ、話しかけられたことか。 中身はもっと可愛いのだけど。 しかし、足だけがまあ見事にこんがり日焼けしてしまっている。 日焼け止めを塗るべきか、いつも少しだけ迷うのだが、今のところ使っていない。 私も日焼け止めは好きでは無いので、家に大人用の日焼け止めもない。 私は長袖にキャップ、さらに今はマスクをして防備している。 私は夏好きだが太陽が好きではなく、紫外線が苦手である。 日焼けをすると痒くなったり湿疹が出たりもする。 また、1時間でも直射日光下にいると異様に疲れる。 息子がどのような体質か分からないが、今のところ日焼けで黒くなった足を痒がることも無いし、とりあえずは良いだろう。 開催中のことはWeb展やアート書道系のWeb展示会を見ていて色々と思うことがあった。 ものすごく単純に言うが、最も大きな発見は、余白が潔い方が良いものが多い、ということである。 潔い、とは、ほとんど、広い、多い、と同義である。 白がよく出来ていて、良くない作品はない、とよく言うものなのだが、それは裏を返せば当然ながら黒がよく出来ているということにほかならない。 しかし、鑑賞時には、白を中心に語られる場合が多いのは何故だろうか。 その方が専門ぽいからだろうか。 この展示会に出す際、実に様々なものを書いたのだが、文字を紙面全体に広げるような書き方を何度もしていた。 あまり理想を掲げていない私にも憧れの書というものがあって、それらはどかんと飄々と堂々としているものだ。 しかし、成功する確率が低いことと、やはり何かがしっくり来ていない感じはしていた。 ところが、穂先を立ててこそこそとちまちまと書くと、少ない枚数で「これは良いかな」というものが出てくるのである。 主催の山本氏に、「どうして当たりそうなところを掘って洗練させないのか」と言われ、一抹の悔しさを持ちながら、大半の納得をたずさえて私はちまちまと書くことにした。 ちまちま書くのは、余白を沢山入れるのには適しているのだが、深層で紙面を埋めたくなってしまう。 要は、沢山喋りたくなってしまう。 そこで何を書くか、それも削ぎ落とすようにしてみる。 沢山喋りたい欲求を抑えておさえて、文言そのものにも余白を持たせる。 沢山喋るのはきっと自己保身のような節があるので、それを捨てて。 自分としては足りなさすぎるだろうか、と思ったものが、後で見ると、後ろ髪を引かれるような気になる作品であることも多い。 またやはり当然だが、何を書くのか、というのは悩ましいものである。 私はシンガーソングライター的なものでありたいと思っているので、なるべく自分の言葉を喋りたいと思っている。 しかも一般的に書で書きそうなことを書きたくない。 何なら、とても一般的な事柄、例えば格言や金言などについても書きたくない。 至極個人的で、恐らく多くの人が未知で、その上でできれば汎用性があること、を書きたい。 しかしこれは、下手をすれば、上手く汎用性の部分に消化出来なければ、鑑賞者が全く意味がわからないということにもなりかねない。 やはり書は言葉を扱うだけに鑑賞者が言葉に重きを置くのは当然である。 墨跡が読み取れない場合には、釈文や解説を見たくなるものであろう。 言葉は個人的で汎用性があって未知で紙面的余韻もちょうど良い、というのは本当に至難である。 今回の展示会は、骨董市のように、作品の売り出しをしている。 書を売る、というのはもう大変である。 書作品を買う、というのは、たいていの場合おそらく飾って眺める、ということであろうから、インテリア映えするものでなければならない。 そういう意味では私の一連の作品はほとんど向いていない。 インテリア映えするという点において言えば、禅語のように尊そうな言葉か、アート書道のようにもうさっぱり読めないどころか、文字を書いているのかさえ分からないものの方が飾りやすいのでは無かろうか。 しかしそれでも奇しくも、私の作品を買ってくださった方がいた。 同じく書をやっている方である。 文字通り、有難いことである。 芸術はコミュニケーションであると、私はそんなふうに思うことが近年固まってきた。 コミュニケーションには相手がいる、相手を慮る必要がある。 けれど、制作はひとりである。 何をどういう風に書くか、バランス、と言ってしまえばそういうことだ。 作品制作へのパラメータがとっちらかってしまった感じもある。 ここからはメモだが、パッと見の紙面構成の型、個性的な字面、鮮烈な文言、最終的に醸す謎感と違和感、これらが私の課題であるのだが、そこに例えば売れる軸や鑑賞者軸をどう入れていくか、も考えないといけないのかもしれない。 売れることが最大の喜びかと言われればそうでは無いが、売れることは良いことであるとは思っている。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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