6月初め、明け方、雷鳴轟く。
梅雨の始まりを太鼓が告げているようだった。 雷鳴とともに眠る。 起きると蒸し暑い。 顔がぺたりとしたものに覆われている。 でもエアコンは身体の芯が冷えるから、あまりつけたくはない。 夜、雨は止んで、肉が食べたいとひとりラーメン屋に入る。 肉が食べたくても、そんなにたくさん食べたいわけではないので、ラーメン屋くらいでちょうど良い。 初めて入るラーメン屋さんでは、たいてい一番オーソドックスなものを選ぶけれど、値段の高い「特製鶏そば つけめん」にした。 鶏肉と味玉と海苔とメンマ、ネギ、鶏団子が麺の上に乗っかっている。 時折ラーメン屋には行くけれど、味が濃いと思うことがほとんどで、ここのラーメンもやっまり濃いめだった。 松本隆さんの歌詞は本当に巧い。 「赤いスイートピー」「Sweet Memories」「硝子の少年」「君は天然色」「カナリア諸島にて」「永遠のもっと果てまでも」「惑星になりたい」などなど。 ボキャブラリーもその組み合わせや発想も、そして物語の作り方も。 曲の方も良いから歌詞はするりと抜けて行ってしまうこともあるけれど、松本隆さんの詞は舌を巻くものばかりだ。 巧みな言い回しを用いながら、よくロック歌手がいうところの「歌詞なんてあんまり意味はない」みたいなことがなくて、詩としての骨格がとても強固である。 表面上はさらりとしてラブソングの顔をしているものも多いのだが、ロックの精神を核に持っているのだと私が確信したくなるような。 マシンガンで撃つのではなく、世界観で迫ってくる。 メロディーとともに歌詞が下りてきた、お風呂に入っていたらフレーズごとぬるっと思いついた、なんてふうには思えない。 村上春樹が何かの本で、炭鉱を掘るような地道さで光るものを掘り当てている、というようなことを言っていたような気がするけれど、彼もそのような感じで書いているのではないだろうかと思う。 もともとはっぴーえんどのドラマーだけれど、作詞家に転向して2000曲以上の作詞をしている。 だから全然一部しか知らないのだけれど。 しかし、松田聖子の「永遠のもっと果てまで」の中に「帆を上げて旅立とう」という歌詞があるのだが、私は今の今まで「頬上げて旅立とう」だと思っていた。 「頬上げて」だなんて「前向いて」とか「顔上げて」などとするより俄然良いなあと思っていた。 聞き間違いは、いろんな曲でこれまでにもたくさんしてきた気がする。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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