何年ぶりだろうか。
とりあえず隔週の短期講座だが、かな書道を習うことにした。 YouTubeチャンネルのお字書き道TALKSでかな文字を取り上げたこともあり、今まで何年もの間やろうやろうと思っていた時が今だと思い申し込んだ次第である。 先生はInstagramでたくさん投稿をされていて、前々から美しいかな文字だなと思っていた方。 また100均の折り紙などに書いていたり、それほどまでに紙などにこだわる先生ではなさそうな感じだったのも決め手になった。 先生によっては、道具一式指定されることもあるだろうし、折り紙に書くなど言語道断だという人だっている世界である。 その方の講座が自宅の比較的近い場所であるというものだから、早速Instagramのダイレクトメールを利用してご連絡を差し上げた。 会派などは関係なく、かな初心者でも大丈夫ですよ、とのこと。 書道の世界においてかな書道というのは少し独特なものである。 かな書道のみをやっている人も少なくない。 一般的に和歌を書く、流麗で優美な書を思い浮かべてもらえば良い。 「継色紙」「寸松庵色紙」などと平安時代の最高峰の作品を検索すれば画像もたくさん出てくる。 現代のひらがなをくずした文字と変体仮名、漢字の草書体を組み合わせて紙面を作っていく。 紙の右上から書き始めるのではなく、中途半端なところからスタートし、行頭を揃えないように書き進んでいく、散らし書きとも言う、のが一般的である。 先生はこれを「景色を作る」とおっしゃった。 ざっくりとした内容は知ってはいたが、実際に書いてみたり、そのポイントなどを聞くのも初めてである。 まず紙は、料紙や新料紙を使う。 これらは色や模様が入っているが、料紙は紙に直接模様をつけたもの、新料紙はその模様を印刷したもの、ということらしい。 言わずもがな、新料紙の方が安価である。 ちなみに料紙は高価なもので半紙半分ほどのサイズのものが1枚2000円とか3000円もするらしい。 かな書道の料紙や新料紙は基本的にはにじまない。 その中でいかに濃淡、潤滑を作っていくか。 筆はかな用のものを先生から一本購入した。 ピンキリだが、1500円前後で良いものはたくさんあるとのこと。 しかし驚愕だったのは、1日例えば7時間くらい書いたとすると3日でだめになるらしい。 一般的にかな書道の先生は、1週間程で変えるか、3本を使いまわして1か月くらいで交換するか、というペースのようだ。 まあでも四六時中かな書道に身を置くのでなければ、3本使いまわしで1年くらいで良いですよとのこと。 とにかく筆は消耗品だということである。 今日は初心者の線の練習と「いろはにほへとちりぬるを」を書いた。 また驚いたのは、思い通りの濃淡が出るように、一字書く中で付きすぎている墨を拭って良いことである。 例えば「ろ」の横から斜めに行く前に一旦筆を紙から離し、別の紙で墨を落として、先ほどの横画に戻って斜めの線に行く。 そんなことをどこの箇所でやっても良いと言うことだった。 なるほど、この世界は、完成形のイメージがすでに上がっているのである。 そのための下書きも緻密なものが存在する。 どんな変体仮名を使うかや、改行などのレイアウトはもちろん、墨継ぎの位置も完全に細かく決める。 ちなみに、変体仮名や改行や墨継ぎは書かれる文章と全く切り離されて、景色のためだけに決定される。 目指すは完璧に美しい景色の書である。 もちろん書き進めるうちの臨機応変はあれど、完成形イメージを的確にトレースする力が必要ということになる。 書いているうちのラッキーはあまり存在しづらく、技術に裏打ちされた練度がものを言う。 音楽で言うと、ジャズではなくクラシックだろうか。 ジャズ的書ばかりやってきた私にとっては、何とも新鮮な世界である。 先生のお手本を見ながら「いろはにほへと」を真剣に書く。 ちなみにかな書道というのは、さらさらと流れていくので、スピードが速いと思われがちだが、実際にはものすごくゆっくりである。 3,4枚書くだけでも結構時間がかかる。 一応私も講師をやっている立場なので、良い字を書かねば!と気負っていたが、途中からかな文字を書く楽しさに乗っかることができた。 先生にも「初めてとは思えない」と言われたが、私は正直ほっとしていた。 先生に、私の素性はあまり明かしてない。 今日から全6回の隔週の授業である。 どこまでやれるようになるだろうか。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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