けいこに子を預け、所要で少しだけひとり炎天下に出る。
私が産後の肥立ちに時間を費やしている間に、今夏の暑中極まれり。 退院時は梅雨寒だった、退院以来の外出。 そう言えば、息子は病院からのタクシーから降りると、人生初めての外の空気に目をしぱしぱとさせて、梅雨曇りの空を眩しそうに眉を顰めていた。 盛夏のど真ん中を歩く。 ぎらりとした太陽、アスファルトに溜めこまれた熱で世界は蒸し返していた。 眩しくて、暑い。 それだけで涙が滲む思いがする。 心地よい。 産前、ほんの近所を散歩するだけでも身重感と動悸がたまらなかった。 まだお腹は全然元通りとはいかないけれど、今はある程度すたすたと歩くことができる。 体力がなくなっているので少し歩いただけでも心臓はどきどきしているけれど、我が身だけを守るためのどきどきであることが身体で分かる。 快適だ。 今の私は子を育てながら、自分自身を取り戻すことに少し焦っている。 この子ができる前の私に戻ろうとしている感じもあって、余計に焦っている。 焦らなくて良いのだろうし、この子を含めての私を徐々に紡いでいくしかないのだろうと思ってはいるのだけれど。 一方で、子を抱いて「あー可愛い、可愛い」と口を衝いて出る私も確かにいる。 乳牛のような私を絶対的に必要としているこの子は、日に日に可愛さを増していくのである。 産後は、後から思い返すに自分が思っているよりもずっと精神が変だ、と友人は言っていた。 精神というのはその渦中にいるときには客観視が難しい。 それがそうならそうとしか思えないのがリアルタイムの精神というものであり、難しいところである。 私は根っからの楽天家でもなければ、表面的なポジティブを実行できるタイプでもない。 だからどうすれば自分自身に良い具合に着地できるのか今はその術が分からないけれど、家族以外の誰かと話したり、子に関係のないことをすることは大切な気がする。 そしてまた、新しい私のカゾクと一緒に真っ向からコミュニケーションを取る必要があるだろう。 やらねばならないことをやっているだけでは満足のいくコミュニケーションは取れないように思う。 鈍っている体と思考に少しずつ負荷をかけていこう。 良い具合にバランスする地点を探っていこう。 でも、落ち着いて、おちついて。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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