産休一日目。
スマートフォンのアプリのスケジュール帳は、ぽっかりといやらしい空白ばかりが並んでいるように見えた。 とはいえ、とあるプロジェクトの書を書きあげたり、暑中お見舞いの依頼のやりとりなどをしていたため完全休日ではない。 しかしながら、好きなことと仕事がとても近しい位置にあって且つ個人事業主の私にとっては、特段完全休日が欲しいという風にも思わない。 あれよあれよという間に日が暮れていく。 このあたりに近くに良いカフェだけは見つけられずにいるのだが、駅を少し超えたところのタリーズコーヒーにでもいって読書をしようかと思っていたが、あえなく間に合わなかった。 クローゼットやキッチンや風呂場の収納の整理もしようと思っていたのだが、手が出なかった。 あれこれこまごま、出産前に片づけたい場所があるのだが果たしてやれるのだろうか。 身重を理由にしたいところだが、こうなったときの私の怠慢力というのは甚だしいことを私自身がよく自覚している。 夕飯だけは作ろうと準備をする。 凝ったものを作らないので準備が案外すぐに終わってしまう。 それにしてもよくご飯を作るようになったので、レパートリーも増えてきた。 キャベツとひき肉、にんにく生姜のスパイシー夏カレー。 セロリとジャコとおかかの醤油炒め。 鯖の味噌煮。 鯖の洋風ローズマリー焼き。 ブリの照り焼き。 ニラキムチちぢみ。 もやしとわかめの豆板醤ナムル。 出汁納豆オムレツ。 手羽元でハニーマスタードチキン。 鶏むね肉の味噌生姜焼き。 味噌漬け豚ステーキ。 ピーマンと赤ピーマンとひき肉の豆板醤炒め。 きゅうりと茄子のピリ辛和え。 切り干し大根とえのきとひじきと大豆の炒め煮。 このあたりは自分で何回か作っている、あるいは今後も作っても良いかなと思えたもの。 適宜内容を交換したり、材料を変えることで汎用性もあるメニューたちである。 忘れてしまうのでメモでもしておきたいのだが、お品書きの書でも日課にしようか。 是非やりたいところなのだが、それもそれで日々のルーティンワークを増やすのと、お品書きのためのごはんになる可能性があるので始めるのはまだ一考の余地がある。 写真を撮るという方法もあるが、これまた体裁を整えるのに多大な苦労を費やしそうなのでやめておこう。 今日のごはん何にしよう、というのは世の主婦の大きな重荷のひとつなのだと思うが、やはりごはん作りの一連の作業というのは実に合理的処理能力とクリエイティビティに富んでいるので、大変な作業である。 何せ、自らの総合的なプライドを立てた上で、手の抜きどころまで選択しなければならないのである。 「今日の夕飯いらないなら早く言ってよ!」と怒る妻や母の図はどこにでもあると思うが、その自らの選択の嵐を日々乗り切っていることを露知らず、「外で済ませるから」と軽々しく言われたのなら怒りも仕方ないものだとも思える。 しかも脈々と続いていく連続的な毎日であり、ほとんどゴールなどないと言って良い。 休日ともなれば朝昼晩3食分に追われることになる。 手抜きしてお惣菜や弁当を買ってくるにしても、その選択責任を負っているわけである。 このあたりの昔のけいこの汲々とした姿は私の中にはあまり良くは映っていなかった。 まあでも、やりたくなければやらないという選択に自分が納得さえできていれば特に問題が起こるということもないだろう。 いつだって宥めるのが一番大変なのは自分自身なのだ。 今のところは、楽しめる程度にやれているので良い。 時折、軽い生理痛のような腹痛がある。 かえるくんに会えるのはもう少しだ。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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