フィリピンの食べ物は、甘い、酸っぱい、油っぽい、というのが基本である。
暑い国ではあるが、辛いものは少ない。 多くの人が甘いのを好むらしく、ブラックコーヒーが飲みたいときは、マクドナルドかちょっと良い喫茶店に入らねばならない。 国民的ファストフードである「ジョリビー」は、マクドナルドよりもたくさんあって、バンズやパテはマクドナルドのようだけれど、ソースはピンク色をしていて日本のそれよりも甘酸っぱい。 素麺にみかん、酢豚にパイナップル、というような、甘さの組み合わせが私は元々あまり好きではなく、ジョリビーのハンバーガーも肉にまとわりつく甘さが気になって口に合わなかった。 元より、私はお酢と砂糖の組み合わせが苦手なので、酢豚がだめだし、マヨネーズも寿司さえも好きではないのだけれど。 とはいえ、アジア料理全般、私は日本でもよく食べるほど好きだ。 その他のフィリピン料理は美味しくいただいた。 中でも衝撃だったのは、熟れる前のマンゴーの青い実に魚醤をつけて食べることだ。 道端の露店で、皮を剥かれたグリーンマンゴーがたくさん並んでいる。 ガリッとするくらいの歯ごたえのグリーンマンゴーは、そのまま齧ると脳がきゅっとびっくりするほどに酸っぱい。 レモンほどの酸味。 熟れたマンゴーからも微かにするマンゴーの野性味が、鮮烈に際立つ。 それから別の小カップに入っている魚醤をかけて食べる。 初めて食べる味。 生ハムメロンや生ハムピーチなんてマリアージュするものではない。 でも、魚醤のおかげで酸っぱいマンゴーが舌の奥で甘味を感じている。 美味しい、かどうかは判断しかねる。 けれど私はもう一度あれを食べたいと思った。 鮮烈な味の記憶を、もう一度やりたい。 けれどタイミングを逃して食べ損ねてしまった。 その他、皮を剥かれた茄子が横たわって卵焼きの布団をかけられたトルタンタロン、タマリンドという実の酸っぱさの肉や野菜がたっぷり入ったスープシニガン、豚肉の時雨煮の油多い版シシグ、鶏もも肉や豚バラ肉を醤油と酢で煮込んだアドボ、豚の血をベースに作られたディヌグアン、フィリピンの代表的なスイーツハロハロ、などなど、いろいろとフィリピン料理を食べた。 あと、私は東南アジアのお米がとても好き。 細長くてパサパサしていて古米のような粉臭い香りがして口当たりが悪いやつ。 日本でわざわざ高い送料を払って買ったことがあるくらいだ。 現地飯というのは、現地スパイスもかかってより一層美味しい。 現地の食べ物を食べるのは旅の一番の目的とも言えるかもしれない。 もっといろいろとあるだろうから、また来る機会があったらもっといろいろと食べたい。 ちなみに、もちろん現地人は私たち日本人同様、フィリピン料理ばかりを食べているわけではないし、さまざまな国のお店がある。 インド料理も、韓国料理も、トルコ料理も、イタリア料理も、アメリカ料理も。 巨大ショッピングモールの中で訳あってサンマルクのトマトソースパスタを食べたが、日本のものよりもちもちしていて美味しかった。 東南アジアに行くと必ず見かけるバロットというアヒルが孵化する前のゆで卵を、今回挑戦しようと思っていたが、流れてしまったというか、流してしまった。 食べ物ではないが、水タバコがとても美味しかった。 大きい燭台のような器具の一番上にタバコの葉のキューブをおいて、水を通してそれを吸う。 いろいろなフレーバーをつけることができて、私はレモンのフレーバーを選んだ。 タバコの有害物質であるニコチンとタールのうち、タールがないらしい。 長いノズルから息を吸うと、水がぼこぼことして、レモンミントフレーバーのミストのような煙が肺に入る。 病気のときの吸入器のようで、何だかもう、健康に良いことをしている気にさえなる。 永遠に吸い続けられるような気がして調子に乗って吸っていたけど、身体にはニコチン飽和量があるらしく、そのうちに要らなくなった。 さてタバコでもと、今吸っていたのはまるでタバコではないかのように普通のタバコは吸いたくなった。 元々中東地方のものらしいけれど、アラビア料理やインド料理を出すところには良くあるらしい。 新宿あたりにもこれを売る店があるそうだ。 この後、エアコンも外の強風で水タバコ器が倒れ、赤々と萌えているタバコのキューブが転がってカバンが焼けてしまった。 スカートや携帯や地肌が燃えなくてよかったということにしよう。 先ほど羽田に着いて、お腹が空いたので何か食べようとお腹に質問するけれど、シニガンスープが食べたいな、なんて返ってきた。 日本でフィリピン料理を出すところは多くはない。 代わりに、梅おろしうどんを頼んだところだ。 付け合わせの水菜のお浸しを食べた途端、あぁぁ、となる。
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勿忘草
無論書道のこと、否応なく育児のこと、などの雑記です。文字自体も好きですが、文を書くのも好きです。 カテゴリアーカイブズ
3月 2024
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